「姥捨て山に捨てられた」68歳女性の激白 労災事故で首と足を骨折し、会社から退職迫られる (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「姥捨て山に捨てられた」68歳女性の激白 労災事故で首と足を骨折し、会社から退職迫られる

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西岡千史dot.
※写真はイメージです (getty images)

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 この時も、会社側は労災の認定をしぶった。恵さんは言う。

「母に代わって私が労災認定について社長と電話で話すと、『なんで私が対応しないといけないの』『社労士に任せてるから』などと投げやりな口調で言われました。私から『社労士の連絡先を教えてほしい』とお願いしても、『社労士の連絡先なんて教えられるはずがない』と、最後は電話をガチャ切りされてしまいました」

 別の電話では、「他の社員が休みを取れないので、会社を辞めてほしい」と言われたこともあった。労災休業中の解雇は、労働基準法で原則として禁止されている。違法の可能性が高い行為だった。淳子さんは、現在でも会社側の対応が許せないでいる。

「私は、事故がおきるまで子育てや親の介護をしながら、精一杯働いてきました。夫は定年後に心臓と足を悪くして、そんな夫の世話もしながら、少しでも年金の足しにしようと思っていたんです。それが、入院したら、姥捨て山に捨てるかのように電話一本で会社を辞めるようにいわれました。これまでのすべての人生を否定されたかのようで涙が止まりませんでした」(淳子さん)

 会社の姿勢に疑問を感じた淳子さんは、労働組合「労災ユニオン」に加入。昨年12月から団体交渉をはじめた。その結果、会社側は不当解雇をしようとしたことなどの事実を認め、労働環境の改善などについて現在も交渉を続けている。

 しかし、淳子さんのケガは全快には程遠い。人工関節は体に残ったままで退院後もリハビリを続けている。後遺症が残る可能性もあるという。

 高齢者の労災事故は、日本ですでに社会問題になっている。総務省の労働力調査によると、65歳以上の高齢者の就業者は822万人(2017年)で、全就業者の8人に1人を占めている。2007年の549万人に比べて、約273万人の増加だ。死亡を含む、4日以上の休みが必要となる死傷災害は全世代で約12万件だが、60歳以上の事故は約3万件で全体の25%を占める。安全対策の改善で全体の労働災害が減少傾向にあるなか、高齢者の労災事故の件数は減少しておらず、全体に占める割合が1989年の12%から急増している。


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