(1)情報を収集する聞き方


 相手の話を「何が事実なのか」という視点で聞く方法です。状況や事実関係に注目した聞き方で、例えば「いつ、どこで、誰が、何を、どうやって、なぜ」という5W1Hを、情報として捉えることが目的です。ビジネスなどにおいては、欠かせない聞き方です。

(2)自分中心の聞き方
 相手の話を「自分と同じかどうか」という視点で聞く方法です。相手が自分と同じ考えや感覚を持っているか、経験や知識、価値観を持っているか、共通点や相違点は何かという視点で聞いていきます。この聞き方では「同じ」であれば相手と仲良くなれますが、「違う」となれば仲違いしたり、言い争いの原因になります。

(3)相手中心の聞き方
 相手の話を「相手がどうなのか」という視点で聞くやり方です。

 そもそも自分と相手は違う価値観を持っているという前提で話を聞きます。よく似た経験があったとしても、その経験に対する思いが同じとは限りません。何を思い、何を大切にしているのか相手に興味を持ち、自分との違いをわかりあう聞き方で、「寄り添う」「支える」「そのまま理解する」のが特徴です。

「人の話を聞く」というときに、普通に思い浮かべるのは、主に(1)や(2)の聞き方ではないでしょうか。多くの人が日常的に行っている方法です。他方で、(3)の聞き方は、心理カウンセラーなどが行う「傾聴」という方法をベースにしているもので、やや特殊な聞き方だと感じられるかもしれません。

 しかし、私は(3)の方法こそが決定的に重要であると思っています。(3)の相手中心の聞き方を知っているかどうか、そしてそれを身につけているかどうかが、その人が「聞き上手」かどうかを左右します。それだけでなく、その人の人間関係、ひいては人生全体をうまく運ぶのに大きく関わっているのです。

 そして、この(3)の聞き方をマスターするために欠かせないのが、冒頭でお伝えした「自分を認める」ということなのです。

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自分を認められない人というのは…