自分の子供に対しても、しつけとはいえ、リスペクトなく高圧的に言うことを聞かせようとしていたら、先生や他の親から白い目で見られ、度が過ぎると通報されるかもしれません。

 そう思うと、日本ほどリスペクトのなさに寛容な世界はないと思います。はっきり言ってしまえば、年長のおっさんが威張りすぎなのです。それが放置されすぎています。これは自戒の念を込めて言っていることで、もちろん私のことも含まれています。

 日本でもパワハラやセクハラがいろんな業界で厳しく取り締まられるようになりました。SNSやスマートフォンの性能の向上で、そうした行動が一気に拡散し、ある意味海外以上に問題視されるようになってきました。

 これから、あらゆる職場に、さらに急速に多様な国籍や宗教を背景とする外国人が増えていきます。彼らにリスペクトのない対応を続けたらどうなるか。

 今まで日本社会が経験しなかったような大問題にもなっていくでしょう。

 私もたくさんの失敗をして、娘からも叱責され、ようやく常に相手にリスペクトを持つことを身につけ始めています。

 何事も遅くはありません。ピリつきそうになったら「リスペクト、リスペクト、リスペクト」と唱えましょう。

 子供からお年寄りまで、立場の異なる方、バックグラウンドの違う方は、必ず自分にない魅力や能力を持っておられます。

 そこをしっかり認識して、あらゆる人に対してリスペクトを持つ。これで世の中は大きく変わっていきます。頑張りましょう。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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