守備練習後、談笑する中日の荒木2軍コーチと根尾 (c)朝日新聞社
守備練習後、談笑する中日の荒木2軍コーチと根尾 (c)朝日新聞社

 中日の1軍キャンプ地、沖縄・北谷球場から国道58号線を車で北上すること、およそ15分。若手中心の2軍キャンプが行われている読谷球場で、ドラフト1位ルーキー・根尾昂がプロ初のキャンプ生活を送っている。

 その注目の主役は“解体の真っただ中”だった。

 1月下旬、自主トレ中の名古屋で右ふくらはぎの軽い肉離れを発症。1軍スタートが内定していたプロ1年目のキャンプは一転、2軍スタートとなった。ただ、これはまさしく“けがの功名”になっているようだ。将来を見越した『プロの守備』を身につけるための地道な練習に取り組む時間が生まれたとも言えるからだ。

 2月4日、読谷球場。室内での打撃練習やサブグラウンドでの快調走など下半身に少しずつ負荷をかけながらコンディションを上げるトレーニングを行った後、雨上がりのメーングラウンドに根尾が姿を見せた。ファンが一斉に沸く。背番号「7」が姿を見せるだけで、球場中に拍手が起こる。若きスターへの期待感は絶大だ。

 ただ、グラウンドでの動きは、なんとも地味だ。単調な基本動作の繰り返しで、派手さはみじんもない。プレーで沸かせるようなシーンなど、全く見られない。

 ただ、これが「プロの第一歩」なのだ。

 まず、3選手でのトス回し。その距離は5メートルと短いものだ。両足を開き、踏ん張った姿勢でその場に立ったまま、右回り、左回りと、交互に送球していく。続いては、腰を落とした姿勢で転がされた緩いゴロを体の正面で捕る。今度はボールを3つ横に並べると、これらを目印にして、左右へサイドステップ。これが終わると、トスを捕球して、5メートル先のネットに向かってスローイングを行う。

 つまり、捕球からスローイングまでの一連の動きを1つ1つバラバラにして、その一動作ごとに動きを確認していくのだ。

 まさしく“根尾昂・解体作業”だった。

「まだまだバラしていいくらいですよ。動けるけど、まだまだです。どれだけ基礎を作っていけるか。それが課題ですね」

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“根尾解体”の狙いとは?