「道路用地の担当者の間では、泉市長の言葉はきつい、けど怒るのもしゃあないよなって空気でした。実際に遅れていて、責任の所在も明確でなく、安全がおざなりになっているのですからね」(前出の職員)

 泉市長の恫喝の部分は1分半ほどで、その録音データは明石市の職員の10人に1人くらいの割合で、「スマホに入れて、持っている」というほど拡散しているという。

 昨年の忘年会の二次会のカラオケボックスで、ある職員が泉市長の怒鳴る様子をモノマネして、拍手喝采だったという。

 録音データでも、職員が大笑いして最後は締めくくられている。
 なぜ、職員は録音に至ったのか。

「まあ、泉市長から怒鳴られることに腹立てて、反撃してやろうと録音したという下心もあったでしょう。けど、実際は仲間内で聞いて、また怒っとるみたいな、笑いのネタにしたろうかとの思いもあったようだ。実際に泉市長が怒鳴っている録音データは、他もありますからね。それより、なぜ、2年近く前の録音データが恫喝の部分だけ切り取られ、市長選挙を2か月後に控えているこのタイミングで表に出たのか。それを疑問視する市民の声が、増えているように感じます」(前出・明石市幹部)

 当初はサンドバッグ状態だった泉市長だが、最近では擁護の反応も増えつつあるという。「火つけてこい」ですっかり「全国区」に知名度がアップした泉市長。まだ、次期市長選挙への態度は明らかにしていない。
(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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