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中瀬ゆかり「95歳の佐藤愛子先生に老化のサインが出ない理由」

連載「50代ボツイチ再生工場」

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中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)/和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに

中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)/和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに

佐藤愛子さん  (c)朝日新聞社

佐藤愛子さん  (c)朝日新聞社

 今年に入って老いを実感することが多くなった。まず、年末年始に声帯が腫れあがって1週間声がでなくなり(天竜源一郎風)、そのまま結膜炎も併発した。ようやくそれらが収まったと思ったら、今度は深爪した左足のつま先から黴菌が入って膿んでしまった。文字通り頭の先から爪の先まで……きっと免疫力が低下しているのだ。

【写真】中瀬さん憧れの先輩 佐藤愛子さん

 からだの変調だけではない。以前ならすっぴんで街を歩くなど、恥ずかしくてできなかったのが、最近、口紅ひとつつけずに堂々と外出してしまっている。中年から初老になるのは、身なりをかまわず洒落っけを失うことだと思っていた私にとってこの現象はショックで、老いの階段をひとつ上がった気がしている。今年55歳になるってことは、四捨五入で還暦なわけで、その数字はなかなか脅威だ。

 どの集まりに出ても参加者最長老グループになってきたのも辛い。先日、ある若年層中心のパーティに出かけたら、私より少しだけ年上の男性が酔って、誰彼かまわず話しかけ同じ話を繰り返しており、みんなに疎まれていたのを見て辛くなった。私の隣にいた30代後半の男性が顔をしかめて「ボク、あのくらいの年齢になったら、こういう集まりに出るのやめます。あんなふうにだけはなりたくない……」とつぶやいたのも、耳が痛かった。

 そもそも老化とはなにか?という問いにはいくつもの答えがあるだろう。肉体的にも精神的にも。このテーマは、老いることを恐れながら(かなり老いていたけど)70にならず死んだトウチャンともよく話しあっていたが、私には人間の老化のサインとして見極める物差しがある。それは「人の話を聞かない」「同じ話を何度もする」ということ。トウチャンに「その話5回目!」「はい、本日2回目いただきましたっ!」などと言うと、向こうも「おまえだって同じネタ言ってることがあるやないか」と不機嫌になっていたものだ。そして、トウチャンの話の聞かなさは、「人の話を聞かないコンテストで3年連続優勝だね」と茶化すくらいのレベルだったが、この特性は「繰り返し同じ話をする人」にセットであらわれることが多い。そしてどんどん他者に興味がなくなり、自分の話しかしなくなるのだ。それも過去の自慢話。

 バーなどでこの手のタイプと同席すると、延々、その聞き役をまかされ、ものすごく疲弊してしまう。でもその時は「私はまだ他人の話が聞けている。聞けているうちは大丈夫だ」と暗示にかけることにしている。


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