そんな中、会社の飲み会で言い寄ってきた同僚と「実験」のつもりで関係を持ってしまったというのです。琴美さんはできないことを期待していたのかもしれません。しかし、実際にはできてしまいました。

 琴美さんはすごいショックと涼太さんに対する申し訳ない気持ちで、おかしくなりそうだったけれど数日間はどうにか平静を装っていました。しかし、意を決して涼太さんに事の顛末を告白したそうです。

 告白したとたん、押さえていた気持ちがぐちゃぐちゃに噴き出して、泣き崩れてしまい、その後何日か会社にも行けず、食事もとれないような状態になってしまいました。そんな琴美さんを涼太さんは優しく見守ってくれたそうです。

 少し落ち着いてから、二人でいろいろお話したそうです。

なんでセックスできなくなってしまったのかわからなくて悩んでいたこと。
清水の舞台から飛び降りるぐらいのつもりで「実験」をしてみたこと。
その結果、できたということは、琴美さんは「セックスができなくなった」という問題ではなく「涼太さんとはできなくなった」のだという問題に直面したこと。
優しくて好きでもある涼太さんとできなくなったのか全く分からないこと。
(好きでもない相手と)浮気してしまって、涼太さんに申し訳なくて、どう詫びて償えばいいかわからないこと。
相手は同僚なので、会社にも行きにくいこと。
もう、消えてなくなってしまいたい、と思っていること。

 そして、琴美さんは、

「私の罪を償うために、好きなだけ浮気して、と涼太さんに言ったそうです」

 涼太さんは、

「別に他の人としたいわけじゃないから、じゃあ、デコピンだ」

と言って、ちょっと痛いぐらいにデコピンをしたそうです。

 すごく良くできた話のように聞こえますが、これだけでは解決しなかったので、お二人はおいでになったのです。

 少なくとも琴美さんの気持ちがすっきりしていないこととセックスレスが未解決です。涼太さんは「自分は大丈夫だ」といいますが、それもどうでしょう。事情は理解できたにしても、妻が自分とはできないのに、他の男性とはできる、というのは相当にハードな現実です。

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あまりに“いい人”過ぎる夫の対応