目安は1~2カ月ということは頭ではわかっていても、「この程度なら、まだ使える」と歯ブラシ交換をためらう人もいるのではないだろうか。事実、3年ほど前、ばらけた歯ブラシの毛先を整える方法がテレビで紹介されたことがある。使い古した歯ブラシを熱湯につけてグルグル回し、その後冷水で冷ますというものだ。素材であるナイロンの性質を利用した方法とのことで、寿命が少し伸びるという。しかし、同社広報担当者は、この“延命策”を「推奨しない」と指摘する。

「歯ブラシには家庭用品品質表示法に基づき、耐熱温度が設定されています。それ以上の温度のお湯をかけることで毛や柄に影響が及ぶ可能性もあります。また、使用を重ねた歯ブラシは毛先が傷むので、毛先が開いていなくても歯垢除去力の低下が考えられます」

 熱湯での延命は見た目だけ、というわけか。ちなみに、同社が推奨する交換頻度は「1日3回使用して約1カ月、約90回の使用」だ。これは手持ち歯ブラシ、電動歯ブラシともに変わりないという。

 では、使用頻度が少ないであろう携帯歯ブラシや会社の置き歯ブラシはどのくらいのペースで交換するのが望ましいのだろう。昼食後1回のみの使用であれば、単純に考えて3カ月くらいは使えるのかも? そんな甘い考えはすぐに打ち砕かれた。

「外出時にキャップを付けるのは仕方ありませんが、半乾きの状態でキャップを付けて、(職場などの)引き出しに入れるのは半乾きの洋服が臭うのと同じで不衛生になりやすいです。保管状態が悪ければ、月1くらいでの交換がいいのではないかと思います。きちんと乾かしてからケースに収納するのであれば、『フィラメントが広がるまで=約3カ月』としてもいいと思いますよ」(前出の小林さん)

「きちんとする」ってけっこう難しい。この原稿を書く前に、引き出しにしまっていた歯ブラシをこっそり捨てたのだった。(AERA dot.編集部・福井しほ)

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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