「2013年安倍内閣の国会を見学しました。平成の天皇を間近で見て、感激しました」(筆者提供)
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Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授、同大東アジア学科学科長。トルーマン研究所所長

 天皇陛下が昨年12月23日に平成最後の天皇としてのお言葉を述べられたことにイスラエルのメディアは驚きと深い関心をもって受け止めました。

 イスラエルのテレビでは、皇居に集まった大勢の人に対して手を振る天皇皇后両陛下の様子が流れ、「時代の終わり」「天皇陛下の最後のお言葉」といった見出しで描かれていました。私はイスラエルでこの行事についていくつかのテレビやラジオからコメントを求められましたが、わが国の日本の天皇への関心の高さに驚きました。

 イスラエル国民は日本の天皇と天皇制度について何を知っているのでしょうか。多くのイスラエル人にとって王(天皇)という存在は、伝説の中にだけ存在するものです。実際、ユダヤ神話には神の物語があり、ユダヤ人であれば皆知っています。人気があります。古代イスラエル王国(紀元前11世紀ごろから紀元前8世紀ごろ)の初代の王はサウル、続いてダビデ、ソロモン。皆さんも名前くらいは聞いたことはないでしょうか。

 イスラエル人は学校での聖書の時間にその歴史に出てくる王や王政について学んでいます。といっても古い歴史です。古代イスラエル王国の最後の王であるヘロデ大王が亡くなったのは2000年以上前。日本が弥生時代中期でしたからユダヤの歴史の長さにもいささかびっくりしませんか?

 現代の王室についてイスラエル人は、英国王室、オランダやスペインの王室など欧州の王室についてはよく知っています。日本の皇室のイメージは、特別な継承性があり、世界でも類を見ない制度だというものです。天皇制度は古くて堅牢な制度であり、この制度を生んだ日本の文化についてイスラエル人は興味を感じます。

 イスラエルの年配の人の中には、昭和天皇(ヒロヒトとして欧米に知られていますが)に親しみをもっている人たちもいます。終戦直後にマッカーサー元帥と並んで写真に写っている昭和天皇の姿は欧米においてもイスラエルにおいても日本が戦争から平和へと移行していくシンボルとして受け入れられ、昭和天皇の在任中に日本は焼け野原から世界有数の経済大国になりましたから、このイメージと重なるのです。

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