プレー中に突然球審が倒れ、救急車も出動する緊急事態が起きたのが、6月16日の中日vs西武(メットライフドーム)。

 まさに突然のアクシデントだった。西武が7対2とリードした7回、一塁走者・松井稼頭央が16年以来2年ぶりの盗塁となる二盗を決め、1死二塁となった直後に異変が起きた。

 打者・秋山翔吾のカウント2-2から木下雄介が投球動作に入ろうとしたとき、敷田直人球審が右手でタイムをかけようとして、ふらつきながら2、3歩後ずさりした直後、ドスンと尻をつくような体勢で仰向けに倒れ込んだのである。

 様子がおかしいことに気づいた木下雄が両手を広げてアピールすると、秋山も「振り向いたら、倒れるところだった」と思いもよらぬ事態にただビックリ。捕手・大野奨太がベルトを緩め、秋山が靴を脱がせるなど、いち早く応急処置に当たった。

 ほぼ同時に両チームのベンチから選手やスタッフが一斉に飛び出し、二塁走者の松井も本塁付近に駆け寄り、心配そうに成り行きを見守った。

 約3分後、敷田球審は担架で運ばれ、救急車で病院に搬送された。卍(まんじ)ポーズのコールでファンにもおなじみの名物審判とあって、搬送時にはスタンドの応援団も激励の“敷田コール”を送った。試合は7分間中断したが、柳田昌夫三塁塁審が球審に入り、予備審判の嶋田哲也が三塁塁審に入る形で再開された。

 倒れた原因については、前打者・金子侑司の5球目のファウルチップが敷田球審の左膝付近に当たり、痛みを訴えていたことから、肉体的ストレスなどが一時的な低血圧を起こす迷走神経反射の症状に陥ったとみられる。

 病院での診断の結果、特別の異常は認められず、同29日の巨人vs中日(ナゴヤドーム)から元気に復帰をはたしたのは、何よりだった。

 一塁ベースコーチがまさかの守備妨害を取られ、打者がアウトになる珍事となったのが、7月20日のオリックスvsロッテ(ZOZOマリン)。

 2点を追うオリックスは4回1死、後藤駿太が一塁ファウルゾーンに飛球を打ち上げた。

 ところが、ファースト・井上晴哉が落下点に向かって走りだした矢先、折悪くボールを避けようとした佐竹学一塁コーチが目の前を走っていたため、行く手を遮られてしまう。

次のページ
邪魔しないように気遣ったが…