進退に窮した佐竹コーチは、邪魔しないよう気遣って、最後はその場にしゃがみ込んだが、出遅れた井上は捕球することができず、ボールは芝生の上に弾んだ。

 審判団が協議した結果、佐竹コーチに守備妨害が適用され、後藤はアウトになった(記録は一邪飛)。

 この日はレフトスタンド方向から一塁方向に11メートルの強風が吹いており、結果的にマリン名物の強風が守備妨害を招いた形だ。

 チームも延長10回の末、シーズン初のサヨナラ負けとあって、試合後、佐竹コーチは「駿太の1打席を奪って申し訳ない」とバツが悪そうだった。

 15年5月6日のロッテvs西武(QVCマリン)でも、西武・奈良原浩三塁コーチがファウルフライを追った今江年晶(現楽天)と交錯して守備妨害アウトになっている。

 また、佐竹コーチの事件から1ヵ月前、6月17日のイースタン、ロッテvs日本ハム(鎌ヶ谷)では、送りバントの打球を処理した日本ハム・北浦竜次が三塁へ暴投。それたボールがロッテの諸積兼司三塁コーチの顔面を直撃するアクシデントが起きたばかり。一、三塁コーチも審判同様、常に危険と隣り合わせであることに変わりはない。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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