中日


2018年外国人選手活躍度:A
来季の外国人選手展望:B

・外国人投手合計成績
64試合14勝18敗1セーブ9ホールド

・外国人野手合計成績
313試合366安打44本塁打192打点4盗塁

・外国人選手MVP:ビシエド
135試合178安打26本塁打99打点3盗塁 打率.348

 トータルで見ると外国人の活躍度は12球団でも1、2という印象。来日3年目のビシエドが打撃開眼し、首位打者と最多安打のタイトルを獲得。併殺打こそ多かったものの、99打点と4番として十分な役割を果たした。新外国人のアルモンテも夏場に少し成績を落としたが、打率.321、15本塁打、77打点と見事な成績を残した。投手も期待の大きかったジーは故障もあって0勝に終わったものの、同じく新外国人のガルシアがチームトップの13勝をマーク。7月に加入したロドリゲスも貴重なサウスポーのリリーフとして機能した。彼らの活躍がなければ最下位に沈んでいたことは間違いないだろう

 野手はビシエド、アルモンテ、さらに少ない出場ながら打率3割をクリアしたモヤの三人が残留となったが、チームの勝ち頭だったガルシアが退団となったことが痛い。新外国人のロメロは同じサウスポーで、11月のドミニカ・ウィンターリーグでは先発として結果を残しているが、アメリカでの実績はほぼリリーフ。日本で先発として活躍できるかは不透明なだけに、先発として期待できる投手をもう一人くらい検討したいところだ。

阪神
2018年外国人選手活躍度:B
来季の外国人選手展望:C

・外国人投手合計成績
108試合12勝15敗32セーブ11ホールド

・外国人野手合計成績
141試合124安打11本塁打65打点0盗塁

・外国人選手MVP:メッセンジャー
28試合11勝7敗0セーブ0ホールド 防御率3.63

 シーズン前に4番として期待されたロサリオは、開幕当初から調子が上がらず、わずか8本塁打、40打点に終わったことが最大の誤算だった。シーズン途中に加入したナバーロはシュアなバッティングでそれなりの活躍は見せたものの、3本塁打とチームに不足している長打力を補う存在にはなれなかった。そんな中で今年も安定した活躍を見せたのがメッセンジャー。シーズン通じてローテーションを守り11勝をマークした。来日9年で7度の二桁勝利は見事というほかない。抑えのドリスも32セーブをマークしてチームを支えたが、セットアッパーのマテオが成績を大きく落としたのは痛かった。

 メッセンジャーは来季から日本人扱いとなり、今のところ残留が決まっているのはナバーロだけ。ドリスは交渉を継続すると言われているが、もし退団ということになれば大きな痛手になることは間違いない。新外国人をみると、今季メジャーでリリーフとして37試合に登板したピアース・ジョンソンと基本合意に達したと報道されたが、残る外国人枠は多い。まだまだキャンプイン、開幕までに時間は残されているが、ここから積極的な巻き返しを図らなければ来季の見通しも暗いものになるだろう。

 ビシエドが首位打者と最多安打、ソトが本塁打王、バレンティンが打点王とパ・リーグと比べても、野手の活躍ぶりが目立ったシーズンだった。この三選手は現在所属している球団が来日した最初のチームであり、他球団からの移籍ではないことも評価できる。また、バレンティン、メッセンジャー、ロペスなど長く日本で活躍している選手が多いことも現在のセ・リーグの外国人選手の傾向である。一時は停滞していたカープアカデミーも再び機能しはじめ、巨人も育成選手として獲得した若手外国人選手が徐々に戦力となっている。安易に他球団で活躍した選手を獲得するのではなく、長く自球団で活躍できるような選手を増やそうという意識が見られた2018年のセ・リーグだった。

※新入団、退団選手の情報は12月5日現在。

●プロフィール
西尾典文

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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