広島・フランスア (c)朝日新聞社
広島・フランスア (c)朝日新聞社

 セ・リーグは広島が三連覇、パ・リーグは西武が10年ぶりのリーグ優勝を果たしたものの、最終的にはソフトバンクの日本シリーズ連覇で幕を閉じた2018年のプロ野球。オフには早くも新外国人加入の情報などが飛び込んできているが、今回は改めて今シーズンの各球団の外国人選手の働きぶりについて球団別に検証してみたいと思う。今回はセ・リーグについてその活躍度を振り返りながら来シーズンの外国人についても展望した。

【広島】
2018年外国人選手活躍度:A
来季の外国人選手展望:A

・外国人投手合計成績
127試合17勝11敗2セーブ44ホールド

・外国人野手合計成績
159試合94安打33本塁打76打点1盗塁

・外国人選手MVP:フランスア
47試合3勝4敗1セーブ19ホールド 防御率1.66

 チームの救世主となったのは、カープアカデミーから育成選手として今季入団したフランスアだ。5月に支配下登録されると、7月からはセットアッパーに定着。8月にはプロ野球タイ記録となる月間18試合に登板して防御率0.51と圧巻のピッチングを見せ、三連覇に大きく貢献した。同じカープアカデミー出身のバティスタも25本塁打とブレイク。ジョンソンも2年ぶりとなる二桁勝利となる11勝、ジャクソンもチームトップの25ホールドをマークするなど、外国人選手の貢献度は高かった。オフには少し不安定さが目立ったジャクソンと7年間所属したエルドレッドが退団となったが、二軍で三冠王に輝いたメヒア、ポストシーズンで好投を見せたヘルウェグも控えており、大きな戦力ダウンは見られない。手薄な左腕の補強として左腕のレグナルトも獲得しており、来シーズンもハイレベルな外国人枠争いが期待できそうだ。

ヤクルト
2018年外国人選手活躍度:B
来季の外国人選手展望:B

・外国人投手合計成績
100試合20勝20敗3セーブ8ホールド

・外国人野手合計成績
142試合138安打38本塁打131打点1盗塁

・外国人選手MVP:バレンティン
142試合138安打38本塁打131打点1盗塁 打率.268

 ダントツの最下位から2位に浮上した功労者の一人がバレンティンだ。打率はそこまで高くなかったものの、年間通じて安定して打撃を見せてリーグ3位の38本塁打をマークし、131打点で打点王に輝く見事な成績を残した。投手ではブキャナンの存在が大きい。故障者が多い中投手陣の中にあって2年連続でローテーションを守り、チームトップの10勝をマークした。夏場以降成績を残したのは不安要素だが、コンスタントに長い回を投げられる投手として貴重な存在である。シーズン途中からリリーフに回った左のハフ、抑えから先発に転向したカラシティーも残留が濃厚。ただ、この二人に関しては内容を見ても一気に成績が上がることは考えづらい。投手陣は先発もリリーフも手薄なだけに、速めに他の候補選手のリストアップを進めるべきだろう。野手もバレンティンの年齢を考えるとそろそろ後釜となる大砲候補も考えておきたいところだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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