佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける
佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける
晩酌ライフに重要な肴に何を選ぶか?(※写真はイメージ)
晩酌ライフに重要な肴に何を選ぶか?(※写真はイメージ)

 個性派俳優、佐藤二朗さんが日々の仕事や生活の中で感じているジローイズムをお届けします。

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 晩酌が好きなんです。ええ。もうそりゃ大好きなんです。1日の最大のイベントといいますか、もう夕方くらいになると、ヘタをすると昼くらいから、「今夜の晩酌の肴はなんだろな」と気になり、ソワソワし、妻に「今夜の肴は何?」とメールし、「まだ昼だぞコラ」と怒られます。晩酌を軸に、その日の行動パターンや動線を画策し、いかに充実した晩酌タイムを送れるかを最優先に考え、1日を過ごします。こんなに晩酌に振り回されてる大人を僕は他に知りません。

 基本、妻が作ってくれる料理を肴に晩酌します。夜、仕事が終わり、自宅に帰る道すがらなんて、もうほとんど有頂天です。刻一刻と近づく至高の晩酌タイムに想いを馳せ、50手前のオッサンの顔は、やや紅潮してるんじゃないでしょうか。気持ち悪いですね。でもホント、そんな感じ。

 さて、晩酌の肴は、実は妻の手料理だけではありません。晩酌をしながら、「何を観るのか」も、高クオリティーの晩酌ライフを過ごすために重要なファクターになってきます。僕の晩酌タイムに煌めきと彩りを添えてくれるのは2つ。テレビ番組の「朝まで生テレビ」と、漫画の「課長 島耕作」です。

 まず、「朝まで生テレビ!」。はい、ご存知、「朝生」です。録画しておいた朝生の中から選りすぐりのいくつかの回を何度も観ます。これがねぇ、ホント、晩酌に合うわ合うわ。合う理由はねぇ、ごめんなさい、よく分かりません。とにかく、お酒や肴の旨さを、更に更に際立たせてくれるんです。

 朝生は言わずと知れた、田原総一朗さん司会の長寿「討論番組」です。そして僕は討論というものがまるで出来ません。すぐテンパるし、頭の回転は遅いし、人の言ったことを理解するのも時間掛かるし、自分の考えを的確に瞬時に言葉にするのも苦手です。だから、とにかく「憧れ」といいますか、ひたすら「凄いなあ、凄いなあ」という気持ちで観ています。「自分にも、もしかしたら出来るかも」という番組を観るのも興味が湧き、楽しいと思うんですが、「天地がひっくり返っても自分には絶対に出来ないこと」を観るのも楽しいんですよね。朝生は僕にとって、完全に後者です。そして、晩酌のホロ酔いを更に心地よくしてくれるんです。

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佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

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