「おじちゃま」と寅さんを呼んだゴクミが帰ってきた

連載「あの人ってば。」

矢部万紀子dot.#矢部万紀子

記者会見で笑顔の後藤久美子と山田洋二監督(c)... (11:30)dot.

記者会見で笑顔の後藤久美子と山田洋二監督(c)... (11:30)dot.
「男はつらいよ」が2019年12月に復活するという。「おかえり、寅さん」の制作発表会に後藤久美子さんがいた。1995年、渥美清さんの死の前年に公開されたシリーズ48作「寅次郎紅の花」に出演して以来だから、24年ぶりのスクリーン復帰となる。

【写真】在りし日の渥美清さんと後藤久美子さん

 後藤さんはそこで、こう言っていた。

<ジュネーブの自宅に山田監督からお手紙が届きまして、「君が必要だ。どうにか考えてもらえないだろうか」と。山田監督から呼び出されたら、はい、と一つ返事で行くんです。そう思いました。>

<ブランクなんですが、ほんのちょっとおいとましていて、また戻ってきて、「おかえり」「ただいま」という感じです。とてもあたたかく迎え入れていただいて、とても心地よい現場です。>

 年をとったせいだと自覚しているが、このところノスタルジックな日本語を使われると、それだけで感動してしまう。この会見で後藤さんの使った「一つ返事で行くんです」と「ほんのちょっとおいとましていて」に「ゴクミ、やるじゃん」な気持ちになった。

「一つ返事」は誤用というのは承知している。でも「二つ返事」のことだなとわかったから、ノープロブレムだ。だって自宅はスイスのジュネーブで、夫はジャン・アレジ。F1レーサーとフランス語で話している人(推測)が、懐かしい日本語を使ってくれた。それだけで十分にじーんと来てしまう。

 私は57歳の日本語しか話せない人間だが、「二つ返事」も「いとま」もずっと使ってない。公の席で「〇〇さんから呼び出されたら、はい、とソッコーで行くんです」とは言わないつもりだが、少し自信がない。

 それなのに44歳でフランス語の後藤さんが「二つ返事」&「いとま」。パチパチパチ。

 と拍手をした上で、少し別な話。後藤さんの「おじちゃま」問題、正確には及川泉ちゃんの「おじちゃま」問題だ。

 後藤さんの「男はつらいよ」初出演は1989年、第42作だった。寅さんの甥っ子・満男の高校の後輩であり、シリーズ最年少マドンナの及川泉役だった。この頃から渥美清さんの体調が悪くなっていったのだろう、寅さんの惚れっぽさをめぐるドタバタ比率が減っていき、恋愛模様は満男と泉が担っていった。

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