有働由美子起用の裏で露骨な経費削減策の日本テレビ テレビ朝日に視聴率を抜かれた本当の理由 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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有働由美子起用の裏で露骨な経費削減策の日本テレビ テレビ朝日に視聴率を抜かれた本当の理由

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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日本テレビは有働由美子を迎えたが… (c)朝日新聞社

日本テレビは有働由美子を迎えたが… (c)朝日新聞社

 そんな日本テレビが月間視聴率でテレビ朝日に敗れてしまったのは、バラエティの人気が落ちてしまったからではない。バラエティは相変わらず軒並み好調を維持しているからだ。どちらかと言えば、ドラマの不調と情報番組・ニュース番組のリニューアル失敗が響いているように見える。

 もともとドラマは強くないのだが、今期は目立ったヒット番組が出ていない。朝の情報番組では『PON!』が打ち切られて、『バゲット』が新たに始まったのだが、これの評判が芳しくない。『PON!』はビビる大木とますだおかだの岡田圭右がメインMCを務めていて、芸人やタレントも多数出演するエンタメ系の番組だった。だが、新番組の『バゲット』はこの路線を180度切り替えて、局アナだけが出演する地味な情報番組に変わってしまった。露骨な経費削減策ではあるのだが、今のところ数字がついてきていない。

 また、NHKを退職してフリーになった有働由美子アナを鳴り物入りでメインMCに据えた『news zero』も、視聴率が低迷している。NHKの『あさイチ』では主婦層に絶大な支持を得ていた有働だが、この時間帯では持ち味を発揮できていない。これらの帯番組の不調に足を引っ張られた結果、日本テレビは王座から陥落することになってしまった。

 だが、これは決して後ろ向きな敗北ではない。弱い部分にテコ入れをして、新しい試みに打って出ている「攻めの改革」である。日本テレビはこれだけ圧倒的なリードを保ちながら、自らの弱点を冷静に見極めて、そこを克服しようとチャレンジを続けているのだ。いま結果が出ていないのは、新基軸を打ち出したばかりの過渡期だからだ。

 むしろ、ラインナップだけを見れば、新王者に輝いたテレビ朝日の方が保守的であるとも言える。米倉主演のドラマに『相棒』『科捜研の女』というドラマ勢は、何年も人気を保っている定番商品であり、目新しさがあるわけではない。

 テレビ業界全体が緩やかに下降に向かっている中で、トップが入れ替わるような激しい視聴率争いがあること自体は健全なことである。攻めの姿勢で引き続き年間王者を狙う日本テレビと、保守的な編成の王道路線でそのスキをうかがうテレビ朝日のデッドヒートはこれからも続くだろう。(ラリー遠田)


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ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・ライター、お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)など著書多数。近著は『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)。http://owa-writer.com/

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