■できなかった旅行を思う存分楽しむ日々

 お母さんと2人暮らしのときは、外泊はおろか、ほとんど旅行らしいことはできなかった山口さん。

結婚して、47都道府県、ほぼ旅行したんです。彼が連れて行きたいって言ってくれて。印象的だったのは、子どもの時以来何十年も行っていない私の両親のふるさと、佐賀県で開催されるバルーンフェスタ。以前からずっと行きたいと思っていた場所で、自分のルーツに触れられたこと。そして、沖縄の海でのダイビング。キレイでした! 小樽、門司といった港町も素敵だったし、宮島もよかったなあ。ニューヨークやヨーロッパ、友人がいるプラハにも行きました。結婚してからの10年で一生分の旅行、したみたいです」

 結婚に躊躇していた山口さんの心の扉を開いたのは、今のご主人。

「彼の“決めたらやる!”という勢いがなければ、私は結婚できなかったでしょうね。押し切られた感じですが、本当に生活が一変しました。人生、こんなことになるんですね」

「生活が一変した」のは山口さんだけではなく、ご主人も同じだろう。一人で見る景色と二人で見る景色は違うということを、ご主人もしみじみ感じているはずだ。(取材・文/時政美由紀)

時政美由紀(ときまさみゆき)
(株)マッチボックス代表。出版社勤務後、フリー編集者に。暮らし、食、健康などの実用書の企画、編集を多数手がけている