東洋大・甲斐野央 (c)朝日新聞社
東洋大・甲斐野央 (c)朝日新聞社

 今月25日に開かれるプロ野球ドラフト会議。今年も大阪桐蔭・根尾昂や金足農・吉田輝星をはじめ、球界の未来を担う逸材が揃っている。では、いったい各球団はどんな選手を獲得すればいいだろうか。野球ライターの西尾典文氏に過去の傾向も踏まえて、12球団の「おすすめ選手」を分析してもらった。今回はパ・リーグ2位のソフトバンク・ホークスだ

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 クライマックスシリーズを勝ち抜いて日本シリーズに進出したものの、レギュラーシーズンでは西武に競り負けて連覇を逃したソフトバンク。選手層の厚さは感じるものの、日本シリーズ連覇を達成した2014年、2015年と比べると強さに陰りが見えてきている印象を受ける。

・過去10年支配下指名選手内訳
高校生投手:18人(主力:1人 戦力:0人)
高校生野手:16人(主力:2人 戦力:0人)
大学生・社会人投手:14人(主力:5人 戦力:1人)
大学生・社会人野手:4人(主力:1人 戦力:1人)

・過去10年上位指名選手内訳
高校生投手:8人(主力:1人 戦力:0人)
高校生野手:4人(主力:1人 戦力:0人)
大学生・社会人投手:7人(主力:3人 戦力:0人)
大学生・社会人野手:1人(主力:1人 戦力:0人)

・過去10年育成指名選手内訳
高校生投手:12人(主力:1人 戦力:1人)
高校生野手:17人(主力:1人 戦力:1人)
大学生・社会人投手:10人(主力:1人 戦力:2人)
大学生・社会人野手:12人(主力:0人 戦力:0人)

 過去10年のドラフトを見ると、支配下指名に限って言えば意外なほど成功率は高くなく、特に高校卒で入団した選手が戦力になっていない。過去4年間で獲得した人数が多く、これから出てくる可能性ももちろんあるが、投手では武田翔太、野手では今宮健太、上林誠知しか戦力になっていない。それを補っているのが育成ドラフト出身の選手だ。2010年には千賀滉大、牧原大成、甲斐拓也を獲得しており、これは育成ドラフト史上最高の指名と言えるだろう。全体的なチーム構成で見ると、気になるのはリリーフ陣の勤続疲労と野手の高齢化だ。今年はサファテ、岩崎翔が相次いで離脱し、全体的に防御率も悪化していた。また野手では内川聖一が2年続けて規定打席に到達せず、松田宣浩も大きく打率を落としている。控え選手の平均年齢も高く、25歳以下の若手で万全なのは上林だけであるというのも不安材料だ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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