最終回の土壇場で同点と思いきや、一転併殺でゲームセットになったのが、14年の阪神vsソフトバンク第5戦(福岡ヤフオクドーム)。

 1勝3敗と後がない阪神は0対1の9回、先頭の上本博紀が四球で出塁。1死後、ゴメス、福留孝介も連続四球で満塁とした。

 だが、次打者・西岡剛は一ゴロ。ファースト・明石健志がバックホームして2死を取った後、捕手・細川亨が併殺を狙って一塁に送球した。タイミング的にはアウトだった。

 ところが、ボールは西岡の背中に当たり、一塁ファウルゾーンを転々。この間にゴメスの代走・田上健一が二塁から同点のホームを踏む。

 1対1でなおも勝ち越しのチャンスと思われたが、直後、西岡がラインの内側を走っていたとして、東利夫一塁塁審が、守備妨害アウトを宣告。田上の得点は認められず、併殺でゲームセット。この瞬間、ソフトバンクの3年ぶり日本一が決定した。

 西岡は自身のフェイスブックで、「ライン上スレスレを走って体に当たれと思いながら走ってました!僕は送球が当たるときに足が外側にあればいいと思って走ったので、僕なりにルール上ギリギリのプレーはしたつもりでした!」と説明したが、「両足とも内側を走っていた」(白井一行球審)とみなされ、阪神ファンにとっては悪夢の“終戦”となった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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