大阪桐蔭・根尾昂 (c)朝日新聞社
大阪桐蔭・根尾昂 (c)朝日新聞社

 今月25日に開かれるプロ野球ドラフト会議。今年も大阪桐蔭・根尾昂や金足農・吉田輝星をはじめ、球界の未来を担う逸材が揃っている。では、いったい各球団はどんな選手を獲得すればいいだろうか。野球ライターの西尾典文氏に過去の傾向も踏まえて、12球団の「おすすめ選手」を分析してもらった。今回はパ・リーグで3位だった北海道日本ハムファイターズだ。

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 昨年は5位に沈み、さらにそこから大谷翔平(エンゼルス)が抜けたものの、若手の底上げで見事にAクラスに返り咲いた日本ハム。スカウティングと育成で勝つ、という明確なビジョンを掲げ、主力が抜けても若手の抜擢で選手の新陳代謝を早めていることが過去10年で3度のリーグ優勝、7度のAクラスという安定した成績に繋がっている。

・過去10年支配下指名選手内訳
高校生投手:11人(主力:3人 戦力:1人)
高校生野手:24人(主力:4人 戦力:10人)
大学生・社会人投手:29人(主力:4人 戦力:14人)
大学生・社会人野手:7人(主力:1人 戦力:3人)

・過去10年上位指名選手内訳
高校生投手:3人(主力:1人 戦力:1人)
高校生野手:7人(主力:2人 戦力:4人)
大学生・社会人投手:8人(主力:1人 戦力:6人)
大学生・社会人野手:2人(主力:1人 戦力:1人)
※2011年1位の菅野智之、2016年6位の山口裕次郎は入団拒否のためカウントせず。2012年1位の大谷翔平は投手、野手両方としてカウント

・過去10年育成指名選手内訳
高校生投手:0人(主力:0人 戦力:0人)
高校生野手:0人(主力:0人 戦力:0人)
大学生・社会人投手:0人(主力:0人 戦力:0人)
大学生・社会人野手:0人(主力:0人 戦力:0人)

 ドラフトは1位でその年の一番良い選手を狙うという「ナンバーワン戦略」を徹底している。2011年は巨人志望の菅野に入団拒否され、2013年は3回、2015年と2016年は2回1位の抽選を外しているが、それでも方針がぶれることがない。その一貫した姿勢がスター選手の輩出が途絶えない要因であることは間違いないだろう。また、野手は高校生を中心に上位指名し、投手は即戦力でも大物に向かうという傾向もよく見て取れる。上位で指名した選手で戦力にならなかったケースが極めて少ない。下位指名からも多くの主力選手が育っていることも見事という他ない。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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日本ハム、おすすめの選手は?