大阪桐蔭・藤原恭大 (c)朝日新聞社
大阪桐蔭・藤原恭大 (c)朝日新聞社

 今月25日に開かれるプロ野球ドラフト会議。今年も大阪桐蔭・根尾昂や金足農・吉田輝星をはじめ、球界の未来を担う逸材が揃っている。では、いったい各球団はどんな選手を獲得すればいいだろうか。野球ライターの西尾典文氏に過去の傾向も踏まえて、12球団の「おすすめ選手」を分析してもらった。今回はパ・リーグで最下位に沈んだ楽天イーグルスだ。

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 昨年のAクラスから最下位に転落した楽天。チーム打率と得点数はリーグ最下位で、チーム防御率はリーグ3位ながらもリリーフ陣が崩壊して終盤に逆転を許す試合が目立った。外国人選手頼みにしてきた打線のツケの大きさを感じる結果である。

・過去10年支配下指名選手内訳
高校生投手:11人(主力:2人 戦力:4人)
高校生野手:14人(主力:0人 戦力:6人)
大学生・社会人投手:28人(主力:4人 戦力:4人)
大学生・社会人野手:15人(主力:4人 戦力:3人)

・過去10年上位指名選手内訳
高校生投手:6人(主力:1人 戦力:3人)
高校生野手:4人(主力:0人 戦力:4人)
大学生・社会人投手:8人(主力:3人 戦力:2人)
大学生・社会人野手:2人(主力:0人 戦力:0人)

・過去10年育成指名選手内訳
高校生投手:2人(主力:0人 戦力:0人)
高校生野手:4人(主力:0人 戦力:0人)
大学生・社会人投手:4人(主力:0人 戦力:1人)
大学生・社会人野手:8人(主力:0人 戦力:0人)

 過去10年の指名選手の内訳を見てみると、下位に沈むことが多いチームの割に安易に即戦力に向かわず、上位も全体もある程度高校生に向かっていることがよく分かる。しかし、戦力になっているのは圧倒的に大学生・社会人選手が多い。投手では則本昂大が1年目からエース格として活躍し、塩見貴洋と美馬学の上位指名した投手も主力に成長している。野手では下位指名から岡島豪郎、島内宏明、茂木栄五郎、田中和基がレギュラーとなった。しかし、一方の高校生は完全に主力になったのは松井裕樹ただ一人。これからが楽しみな選手はそれなりにいるものの、やはり物足りなさは否めない。特に野手は今後の中軸として期待できそうな選手が内田靖人くらいしか見当たらず、そのあたりが外国人選手への依存度の高さに繋がっていると言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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