報徳学園・小園海斗 (c)朝日新聞社
報徳学園・小園海斗 (c)朝日新聞社

 今月25日に開かれるプロ野球ドラフト会議。今年も大阪桐蔭・根尾昂や金足農・吉田輝星をはじめ、球界の未来を担う逸材が揃っている。では、いったい各球団はどんな選手を獲得すればいいだろうか。野球ライターの西尾典文氏に過去の傾向も踏まえて、12球団の「おすすめ選手」を分析してもらった。今回はセ・リーグ三連覇を果たした広島カープだ。

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 交流戦では負け越すなど苦しい時期もあったものの、終わってみれば独走で球団史上初の三連覇を達成した広島。チーム防御率は4点台でも強力打線の後押しがあり、フランスア、アドゥワ誠などリリーフ陣での新戦力の台頭があったことも非常に大きいプラス要素だった。

・過去10年支配下指名選手内訳
高校生投手:14人(主力:2人 戦力:4人)
高校生野手:13人(主力:1人 戦力:2人)
大学生・社会人投手:21人(主力:3人 戦力:3人)
大学生・社会人野手:9人(主力:3人 戦力:3人)

・過去10年上位指名選手内訳
高校生投手:4人(主力:1人 戦力:1人)
高校生野手:4人(主力:1人 戦力:1人)
大学生・社会人投手:9人(主力:3人 戦力:3人)
大学生・社会人野手:3人(主力:2人 戦力:1人)

・過去10年育成指名選手内訳
高校生投手:6人(主力:0人 戦力:0人)
高校生野手:3人(主力:0人 戦力:0人)
大学生・社会人投手:4人(主力:0人 戦力:0人)
大学生・社会人野手:3人(主力:0人 戦力:0人)

 無名の高校生をチームの中心選手に鍛え上げる。広島の成功を語る時によく聞かれるフレーズだが、過去10年に絞ると高校生を多く指名しているものの、まだ結果が出ていない選手が多いのが現状だ。

 一方で成功しているのが即戦力の投手陣。上位指名した9人のうち6人が戦力となり、野村祐輔、大瀬良大地はタイトルホルダーとなっている。分離ドラフトの時に獲得した前田健太(現ドジャース)、會澤翼、安部友裕、丸佳浩といった高校生の有望株が成長し、そこに逆指名時代には獲得が難しかった即戦力の投手が加わったことでうまくチームが強化されたと言えるだろう。もちろん中崎翔太、田中広輔などが下位指名から主力となり、ドラフト時点では評価の高くなかった菊池涼介、鈴木誠也を2位で確保した英断も大きな成功要因だ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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