■ロケ撮影も多く「聖地巡礼」で話題になる可能性も

 重たいテーマをうまくコミカルに落とし込む、出演者たちも実に豪華だ。その出演者が多すぎず、かといってミニマム過ぎない絶妙なサイズに収まっており、それぞれの役者の存在が立っているのだという。

「まず、主演のガッキーと松田龍平、菊地凛子、そしてドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)がヒットして今最も熱い田中圭といった主要キャストが実に濃厚です。もちろんガッキーは、ルックスや人気も考慮したキャスティングであるとは思います。それでも役者の顔に頼っているんじゃなくて、かなり丁寧な作り込みをしている。ガッキーや龍平の行きつけのバーのマスターが、キッチュ(松尾貴史)なのをはじめ、田中美佐子や黒木華、中島らも主催の『笑い殺軍団リリパットアーミー』に加入していた山内圭哉など脇役もいて、舞台役者たちを中心に、芝居が上手な人たちで抑えています。彼らを取り巻く人の関係性の中で1話ごとに問題が解決されて、そうかと思ったらまた濃いめの登場人物が問題をふって次回へ……という展開でしょうか。初回を見てそう予想しました。実際ドラマの相関図も、放送の直前でいきなりアップデートされていたんですよね」(同)

 やはり主要キャラ4名に収まらない人間関係がキーとなりそうだ。なお、松尾貴史のバーは、クラフトビールを売りにしており、場所は再開発で注目を集める都内某所。それ以外のロケ地もなんとなくわかりそうな場所が設定されており、SNS上では早くも場所探しや謎解きを行うファンも出てきている。

「ロケも多くて、室内での撮影があまりないように見えました。例えばウェブ制作会社で働くガッキーが、クライアントのところに向かうシーンも、しっかり駅でロケをして移動中のホームでパソコンを開くといった描写を丁寧に作っている。タクシーに乗っていても渋滞でその場で降りて走って転んだり、引き込まれるシーンが多かったんですね。話が進むにつれ、聖地巡礼と絡んできたら、面白そうです」(同)
 
 期待値以上に、期待できそうな設定。今後の展開も見逃せない。

「発表された視聴率自体は11%スタートで、織田裕二主演の月9ドラマ『SUITS』(フジテレビ系)が14%代だったことからすると、もっといい数字が取れる可能性もありましたけどね。ただ、水曜日の22時代は視聴率をとるのがなかなか難しい。石原さとみ主演の『高嶺の花』(日本テレビ系)でさえ、厳しかった時間帯です。そこでいうと、本作の内容を見れば、これからどんどん視聴率が上がっていく可能性が高いと思います」(同)
 
 最近では録画での視聴や、Huluなど動画配信サイトでの視聴も増えてきており、初回をテレビで見なかった人たちが、次話を早く見たくなってリアルタイム視聴につながる可能性もあるだろう。注目作の本ドラマの動向を見守りたいところだ。(ライター・黒崎さとし)