新垣結衣 (c)朝日新聞社
新垣結衣 (c)朝日新聞社

■単なる恋愛ドラマでなく社会問題を絡ませた現代劇

【AERAの表紙を飾った可愛いガッキーの写真はこちら】

 10月クールの新ドラマ、新垣結衣(30)主演の「獣になれない私たち」(日本テレビ系/水曜午後10時)の初回放送の視聴率は11.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)となり、まずまずのスタートとなった。同ドラマは、新垣主演で2016年に放送され大ヒットとしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)で脚本を務めた野木亜紀子氏が、再びタッグを組んだオリジナルドラマ。今クール最注目ドラマとの呼び声も高く、放送前からファンからの期待が寄せられていた。

 放送前から期待値が高かったので一部ネットニュースなどでは、すでに「視聴率暴落の可能性」と謳ったレビュー記事がアップされているが、作品に関してはどうか。映画ライターのよしひろまさみち氏は「内容としては期待以上、今クールで一番、次が楽しみなドラマのひとつ」と話すが、同氏は初回の放送を見て、その“引きつけ力”の巧みさを称賛する。

「放送前の番組宣伝やウェブサイトのビジュアルだと、なんとなくガッキーを中心にした三角関係もしくは四角関係の恋愛ものなのかな、と思っていたんです。しかし、初回の放送を見たら全然違う予感がしました。第1回の放送で、これでもかってくらい問題提起が詰め込まれていた。初回の放送で主要な登場人物全員が、現在の社会で問題とされている何かを抱えていることが、あっさりとわかってしまうんですね。モラハラ、パワハラ、セクハラを孕んだブラック企業・クライアントから、親の介護問題、ゲーム依存の引きこもり、親からのDVや家族がマルチ商法にハマっていること、そして恋愛がうまくできない人たち……。初回からこれだけ大風呂敷を広げられて、これからどうなるの?と、まったく先が見えない。『逃げ恥』のときもそうでしたが、野木さんのことなので、この伏線をどう回収していくのかが、すごく楽しみです」

 初回の放送を見てみるとこれだけの重たい問題が揃っているにもかかわらず、視聴者を飽きさせないギミックが満載で、見応えは実に軽やかだ。

「本作はあれだけ重い問題を提起しておきながら、意外とコミカルに見せられているところも上手な部分。今の視聴者が見たいのは、シリアスなだけのドラマじゃなくて明るいお話なんですよね。それでいて考えることも多いっていうのもいい。これが(『逃げ恥』制作の)TBSだと本格派の重厚なものになりがちですが、日テレ制作だからこその軽さがうまく融合していて、とても見やすいと思います」(よしひろ氏)

次のページ
ロケ撮影も多く「聖地巡礼」で話題になる可能性も