日本では、ほとんどの場合において、議員外交であっても日程を外務省が調整する。自民党が政権与党として二人三脚で大使館(外務省)と日米関係を作ってきたというルート以外には、各党のワシントンにおける継続的な発信などは存在しない。

 各党がそれぞれ自らの政治的立場を踏まえて独自の活動を行うドイツの政党外交は、外務省の外交が全てである日本外交にとって、大変参考になるであろう。

■サンダース上院議員と会談した結果は?

 多くの会談で、枝野氏は「近い将来、立憲民主党で政権を取る」「政権を取る前から、ワシントンの皆さんとの関係を構築し、私たちの理念をお伝えしていきたい」と繰り返し述べ続けた。

 政権を目指す立憲民主党にとって、本訪米においては、これまで日米外交に深く関わってきた米国の「知日派」の人々に新しい党の理念を伝え良好な人間関係を構築していくこと、そして、これまでは日本に関心をもっていなかったとしても、立憲民主党の理念を共有しうる人々とも新しく関係を構築していくことが本訪米の目的であった。

 今回はその考えに基づき、多くの知日派・元政府関係者との面談を行い、また、バーニー・サンダース上院議員を初めとした進歩派といわれる議員との会談も複数行った。どの面談でも、訪問は大変歓迎され、継続した関係を築くことの重要性が語られ、政策に対する質疑が積極的になされた。

 なお、新しい党の存在を米国の人々に知ってもらうことが今回の最大のミッションの一つでもあった。そのため、筆者は、メディア対策にも力を入れた。そもそも、特別な出来事でもない限り、日本の国会議員の訪米が米メディアに取り上げられるのは極めて難しい。しかし今回、トランプ・安倍両氏の関係について疑問を感じ、それに代わる存在を求める米主要メディアの枝野氏に対する関心は強かった。AP、ワシントン・ポスト紙といった米主要メディアから個別インタビューの依頼も相次ぎ、実際にニューヨークタイムズ紙(ウェブ版)などに記事が掲載された。米メディアの注目を集めることができたのも、大変大きな成果であった。

次のページ
ワシントン外交の必要性