「暴力的で偉そう」とんねるずの木梨と石橋の好感度にこれほど差がついたワケ (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「暴力的で偉そう」とんねるずの木梨と石橋の好感度にこれほど差がついたワケ

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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木梨憲武 (c)朝日新聞社

木梨憲武 (c)朝日新聞社

 このように、木梨はコントやロケにおいて突発的な行動に出て笑いを取ることがしばしばある。石橋も似たようなことをすることはあるが、石橋の場合には自分がどう見られるかをある程度計算してから動く戦略的な一面がある。木梨の方がより感覚的にその場の判断で動いているように見える。

「柔よく剛を制す」という言葉があるが、石橋が「剛」だとしたら木梨は「柔」である。状況に合わせて柔軟に動きながらも、ときには大胆な行動に出る危なさも秘めている。場の雰囲気を壊さず、あくまでもスマートにそれをやりきるのが木梨の流儀である。

 やっていることの暴力性にはそれほど変わりがないのに、なぜ石橋と木梨の好感度にはこれほど差があるのだろうか。それは、2人のタレントとしてのスタンスの違いにあると思う。石橋は自らの力や能力を誇示して、あえて偉そうに振る舞うことで共演者との関係性を作っていく。いわば、「上から目線」を基調としている。職場などで横行する理不尽なパワハラやセクハラに苦しむ人が多い現代では、そんな石橋のスタンスは嫌われてしまいやすい。

 一方、木梨は決して自分の能力をひけらかさない。木梨は多才の人である。コントを演じて、絵を描き、歌を歌い、ものまねもこなす。クリエイティブな活動に関しては、何をやらせても圧倒的な才能を持っている。今回の『笑ってコラえて!』でさりげなく披露した所ジョージのものまねも、実はあきれるほど上手い。

 だが、木梨は決してそれを自慢するような感じでこれ見よがしに見せつけたりはしない。あくまでも軽い感じでちらっと見せるだけだ。この奥ゆかしい姿勢こそが、木梨が芸人の中でも圧倒的におしゃれで魅力的に見える理由だろう。

 10月6日にはTBSラジオで『土曜朝6時 木梨の会。』という新番組が始まる。ラジオはテレビよりも少人数のスタッフで制作されていて、出演者と受け手の距離も近い。テレビよりもタレントの魅力が伝わりやすいメディアであるのは間違いない。石橋は今でも木梨の才能に関して「東のナンバーワン」と太鼓判を押している。無尽蔵の才能を秘めた木梨の本領が発揮されるのはこれからなのかもしれない。(ラリー遠田)


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ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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