これを実現させるのが、前述したメモ作戦です。具体例やクラスメートの発言など、テキストにどんどん書き込めば、「あっ、ここはアイツ(クラスメート)が馬鹿な質問していたな」となり、思い出すことができるようになるのです。

 思い出すきっかけを増やすことは、問題演習においても意識すべきです。問題を解くときは、覚えた知識をあとから思い出せるように、記憶の入り口を増やす形でメモします。

 まず、問題の余白に「思考回路」をメモしましょう。

 問題として「東京ドームの最寄り駅(JR線)を答えなさい」と聞かれたとします。解答・解説には、「水道橋駅」と記載があるはずです。これについて「飯田橋だったような、水道橋だったような、駅名に橋がついていたな……」と思ったら、鉛筆で小さく「飯田橋? 水道橋?」とメモしてください。

 一通り勉強が終わって2回目、3回目の勉強をしたときに、メモ書きを読むことで「そ
うそう、初めは飯田橋と水道橋の違いがわからなかったよな……」と気づくことができます。

 こうすることで、「初めはまったくとんちんかんなことを考えていた」「◯◯と勘違いをしてしまった」ということが明らかになり、一つの「経験」としての記憶になります。

 また、問題を解いたときは「感想」もメモするといいでしょう。「水道橋ってタレントの水道橋博士さんの名前の由来?」「水道橋って簿記の専門学校がたくさんあるイメージだな」。このように、思ったことがあれば「水道橋博士? 簿記?」というように、一言だけメモに残します。

 さらに、直接の関係がなくても、関連知識で気づいたことがあればメモをしておきましょう。1853年のペリー来航に関する問題を解いているときに、「1853年といえば、ヨーロッパではクリミア戦争、ナイチンゲールが活躍した」と気づいたら「クリミア戦争、ナイチンゲール」とメモします。

 こうすれば、思い出すきっかけを増やすことができます。東京ドームの最寄り駅を聞かれてパッと思い出せなくても、水道橋博士さんの顔を思い浮かべることができるかもしれません。ペリー来航の年号が出てこなくても、「クリミア戦争と同じ→クリミア戦争は1853年→ペリーも1853年」と思い出せる可能性もあります。

 とにもかくにも、思い出しやすいように覚えることが重要なのです。問題演習の場面でも、これを忘れないでください。