中瀬ゆかり「魂でもいいからそばに…白洲正子がかつて教えてくれたこと」 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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中瀬ゆかり「魂でもいいからそばに…白洲正子がかつて教えてくれたこと」

連載「50代ボツイチ再生工場」

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中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)/和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに

中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)/和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに

白洲正子さん (c)朝日新聞社

白洲正子さん (c)朝日新聞社

 今年の3月に和歌山に住む父を亡くした。父は故郷の偉人・南方熊楠の研究に人生を捧げた高校教師だったが、定年後は南方熊楠顕彰館の館長を長く務めた。死んだトウチャンとはまったくタイプの違う学者肌で真面目な父は世俗的な遊びなど一切目もくれず、書斎にこもり研究し、古文書を解読することや俳句を読むことを何よりの楽しみとしていた人だ。私は昔からこの寛大な父にメロメロで、理想の男性でもあった。なのに、なぜ、真逆ともいえるギャンブル狂の作家なんかと暮らしていたのか、と問われるが、人間の本質として「ピュア」なところは父とトウチャンは根っこで同じ匂いがしていたのだ。これは誰にも理解されないだろうが、ファザコンの私にはとても大事な相似点だ。

【白洲正子さんの写真はこちら】

 もうすぐ初盆を迎えるので、父が亡くなったあと落ち込んでいた母は、久しぶりに活気を取り戻し、その準備に慌ただしい。父と母は娘の私から見ても本当に愛し合って信頼し合った夫婦だった。60年近く寄り添った夫を亡くし84歳でボツイチになった母が、父の49日が過ぎた頃、こうつぶやいた。「あんたは若くして白川さんを失くしたからそりゃあ可哀相だと思ってたけど、また立ち直り、人生をやり直す気力があるやろ。お母ちゃんみたいに年取ってから喪くすと、老人やからもちろん順当なことやという納得もできるんやけど、もう人生をやり直す気力も体力もないから、ただ後に続いて死ぬのを待つだけや……平等にできてるわ……」。そうつぶやく母にはかつて「厳母」として私を恐れさせ煙たがらせた面影はなかった。そして「あんたは未亡人の先輩やから」と、父の死後はなにかと質問攻めにあい、頼られることが多くなった。

「いつごろ白川さんが夢に出てきた?パパがちっとも夢に出てきてくれへんのやけど」「私の場合は3か月くらいしてからだったよ。担当編集者の夢にはすぐ出演してたみたいやけど、なかなかきてくれなかった。思いが強すぎるとそうなるのかもね」「そうか。ほな待つわ……」素直に頷く母は少女のように見えた(先月ようやく「立て続けに夢に出てきてくれたわ」と喜びの電話をもらったところだ)。



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