自民党が「国土強靱化で予算大幅増」を叫ぶ裏には、19年に統一地方選と参院選を控え、予算のバラマキで地方の票を集めたいという邪念がある。「防災」「復旧」を錦の御旗にして、公共事業費バラマキへの批判を回避する。人々の災いに乗じて、自らの利権拡大を図る。こんな自民党の動きは全く許せない。

 国土強靭化で予算を増やすなら、何を減らすのか。プライオリティ付けをするのが、政府の重要な仕事だ。国防予算もこれからどんどん増やすのが安倍政権の方針だが、全ては赤字垂れ流しで行う。そんなことなら、高校生にもできる。

 今や、国会は、火事場泥棒活躍の舞台と化した。こんなことなら、さっさと国会を閉じて、秋の臨時国会まで、国会議員は全員、被災者支援のためにボランティア活動をするべきだ。国民の苦しみを知れば、少しはまともな政策論議をする気になるのではないだろうか。

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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