安倍総理から見れば、この話は、完全に消さなければならない不都合な真実だ。国会が終わるまで、何とか、マスコミや野党の追及を避けられれば、逃げ切りは可能。そう考えて、本件の出だしのところで、完全に報道をシャットアウトしたいと考えた。そこで、かねて大きな危機が来た時に備えて、切り札として準備しておいたオウムの死刑執行を急いで実行に移したということはないだろうか。

 結局、東京新聞と毎日新聞が、国民民主党の山井和則議員の発言を引用する形で短く触れたのを除けば、大手全国紙やテレビは、この件を報じなかった。

 安倍総理の自民党総裁3選が堅いというコンセンサスでまとまった大手メディアは、官邸の意向を忖度しているのかもしれない。マスコミが取材しなければ、文科省から真相に迫る情報が出て来る可能性は低い。結局、安倍総理の目論見通りに行くのだろうか。
 
■参議院定数6増法案、参議院で可決で民主主義終了
 
 西日本の水害の被害が拡大する中、自民党の火事場泥棒的な動きが際立っている。

 まず、カジノ法案が7月6日に参議院で審議入りとなった。この法案の主管大臣である、石井啓一国交相は、災害対策で最も重要な役割を担う大臣だ。その大臣を国会に張り付けるとは、どういうつもりなのか。カジノ法案には国民の過半が反対している。被災者に限らず、国民が望んでいるのは、行方不明者の捜索と被災者支援に政府が全力を注ぐことだ。石井国交相があくびを押し殺すのに必死という姿が映し出されるのを見れば、やはり、今はカジノ法案を審議している時ではないということは明らかだ。こんな火事場泥棒的なことは今すぐやめてもらいたい。
火事場泥棒といえば、参議院の定数6増法案も11日に参議院で可決され、衆議院に送付されてしまった。これで、今国会での成立の可能性が極めて高くなった。この法案の内容の解説は、省略するが、一言で言えば、参議院で合区された高知・徳島、鳥取・島根の選挙区で、立候補できなくなる自民党議員の当選を確実にするためだけの法案である。

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災害を理由にまたもやバラマキ?