7月に入り、いよいよ富士山も山開き。その雄大な山容に、いまや国内だけでなく海外からの観光客にも人気のスポットとなっている。だが、魅了されるのは登山愛好家だけではない。「ダイヤモンド富士」や「パール富士」など貴重な瞬間をおさえたい写真愛好家もしかりだ。アサヒカメラ特別編集『写真好きのための法律&マナー』では、風景などの撮影マナーを特集している。人気の撮影地でいま何が起きているのか。いま一度、この問題を検証したい。
【写真】こんなにも撮影者がいる!? 「ダイヤモンド富士」を待つカメラマンの集団はこちら
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富士山といえば、絶大な人気撮影スポットであり、憧れの被写体であることは間違いない。それゆえに、国内のみならず、世界中から写真愛好家が押し寄せている。
山中湖在住30年で、富士山を撮り続けている写真家の冨塚晴夫さんによると、その現場はすさまじいものだという。
「富士山頂で太陽が輝くダイヤモンド富士が撮れる10月末から11月中旬と、1月末から2月中旬のピーク時には、近隣のコンビニの商品がカラになるほど。花火大会などのイベント時には1万人近く集まります」
大勢の人が集まれば、必然的にトラブルも増える。
「多いのが講釈を垂れたがる人。撮影方法や機材について延々と自慢話をし、聞かされている人がシャッターチャンスを逃すこともあるほど。そういうときは毅然とした態度で撮影に臨むべきです」
ダイヤモンド富士の瞬間を待つ場所にスピーカーを持ち込んで演歌などの音楽を延々流したり、自分の写真を見せたり、売ったりする人もいるという。公園の駐車場に泊まり込み、洗濯物を干す人は地元にとっても困った存在だ。
「頻繁に来る人たちが仲良くなってグループになるのはいいのですが、他の人を阻害したり、主のような顔で人に自分のルールを押しつけたりするのはどうかと思います」
少しでもいい場所で撮影するために、三脚による場所取りも大きな問題となっている。
「かなり前から三脚を立てて場所取りをするのですが、グループの場合、間に人が入らないように三脚にチェーンをつける人がいます。たまに湖に三脚が捨てられていることもありますが、盗まれてもいいように、あえて場所取り用に安い三脚を使う人もいるほどです」