精力的に走る岡崎のこうした守備は、レスターのショートカウンター、つまり、高い位置でボールを奪い、素早く攻撃に転じるサッカーの中で不可欠な武器になった。岡崎が守備に走り始めると、チーム全体にスイッチが入って動きが活発になるのだ。

 そして、12日に行われた日本対パラグアイ戦でも、岡崎は献身的な守備でチームにスイッチを入れていた。トップ下の香川真司と連動しながら行なった前線からの守備は、間違いなく勝因のひとつだった。

 その岡崎は、今回のコロンビア戦をどのように捉えているのか。「何もやらせてもらえなかった」ブラジルW杯の最終節コロンビア戦から4年が経ったが、奇しくも、ロシアW杯はこのコロンビア戦から始まる。少しばかり因縁じみている気もするが、そのような捉え方はまったくしていないという。

「(今回のコロンビア戦は)別物だと思っているので、はい。もちろん、リベンジという気持ちは俺らにはあるかもしれないですけど、コロンビアにはないと思うので。あのときのコロンビアは突破が決まっていたし、向こうには良い思い出しかないと思うんですよね。今回のW杯に関しては(対戦が)初戦です。お互いにグループリーグ突破がかかる、かなり運命を左右する試合になってくる。だから、今回こそ本当の意味での”W杯のコロンビア戦”になると思う。前回のコロンビア戦は、やっぱり『早く点をとらなきゃ』という焦りがあった。『1-1のスコアで守りながら2-1にする』という進め方ができず、バランスを崩してしまったので。だから、(力の差という意味で、コロンビア代表との)距離は間違いなくあると思います」

 日本もコロンビアも、出場する選手と経験値は変わった。だから、コロンビアとの実力差が今どれくらいあるのか、両国の間にある距離は分からないという。だが、日本が挑戦者の立場にあることは強く意識している。決意と覚悟を持ち、全力を尽くすと力を込める。

「4年も経てば、クラブでの活躍や経験も変わってきていると思うので、あのときのメンバーとは違ってきている。そういう意味では、(コロンビア代表と力の差の)距離なんかは全然わからないです。ただ、自分たちがチャレンジャーというのは間違いない。『国と国の戦い』というプレッシャーがある中で、グループリーグとして最初に決められている試合は、たった3試合しかない。この3試合に懸ける思いは、どのチームも強い。クラブでは(欧州で)やってますけど、W杯は別物です。間違いなく、どの選手も未知の体験になるかと思います」

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キャリアの集大成となる今回のW杯