サッカー日本代表の岡崎慎司 (c)朝日新聞社
サッカー日本代表の岡崎慎司 (c)朝日新聞社

 今から4年前のブラジルW杯。グループリーグ最終節のコロンビア戦で、日本代表が唯一決めたゴールの得点者が岡崎慎司だった。

 0-1のコロンビアリードで迎えた前半アディショナルタイム。右サイドから本田圭佑が入れたクロスボールを、岡崎は得意のヘディングシュートでゴールに叩き込んだ。「ボールが自分の方向に飛んでくるクロスに合わせるのが得意」と話す、実に岡崎らしい得点だった。

 しかし、同点に追いついたのも束の間、後半に3点を奪われ1-4の大敗を喫した。結局、日本は1勝もできないままグループステージ敗退。「これが自分たちの実力」と肩を落とした岡崎も、ゴールの喜びがきれいに消え失せた。

 あれから4年の月日が流れた。当時ブンデスリーガのマインツにいた岡崎は、プレミアリーグのレスターに籍を移し、世界最高峰の舞台イングランドに身を置くようになった。屈強なディフェンダーが揃うプレミアで揉まれながら、加入1年目には「奇跡のリーグ優勝」に貢献。在籍2季目には欧州チャンピオンズリーグでベスト8に進出し、欧州のトップクラスたちとしのぎを削った。

 身体もプレミア仕様に合わせた。接触プレーの激しいイングランドで当たり負けすることが増えたことから、加入1年目に肉体改造に着手。とくに、胸、肩、首周りはブンデスリーガ時代に比べてもずいぶんと逞しくなった。同時に、専属フィジカルコーチの杉本龍勇氏の指導を受けながら、動きのキレを落とさぬように努めた。体重は2~3キロ増えたが、俊敏性が落ちることはなかった。

 その成果のひとつが、敵を背負った状態でくるりとターンし、マークを1枚剥がすプレー。密集地帯やカウンターで敵を交わして前を向ければ、大きなチャンスにつながる。積極的に取り入れたこのターンは、レスターで貴重な攻撃のアクセントになった。

 「攻撃のスイッチ」を入れるのがこのターンなら、守備のスイッチを入れるのがチェイシングである。パスコースを切りながら、ボールホルダーを追い込むようにしてプレッシャーをかける。ただし、向こう見ずに追いかけるわけではない。周りの状況を把握し、ボールの取りどころを探りながら間合いを詰めるのだ。

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4年前のリベンジの気持ちは…