それは、同時に「価値」の「運用」にニーズがあるということだ。

 将来の「運用」のための環境(運用商品、金融市場、運用ビジネス、などの状況)がどのようなものになっているのかは分からない。銀行預金も、債券も、株式でさえも、なくなっていたり、主流でなくなっているかもしれないが、「価値」を保存しできれば増やしたい人と、自分が保有するだけの「価値」では現在やりたいことに対して足りない人がいることは変わらないだろう。

 個人間、企業間で個別に複雑に多数やり取りされる「価値」を運用できるのはある種のAIに支えられたソフトウエアで、これが未来の金融商品あるいはファンドマネージャーかもしれないが、個人は、これを利用するに違いない。

 その場合に、

 1.「価値」が増える効率が高い方がいい
 2.リスクは小さい方がいい
 3.自分が持つリスクは自分で決めるべきだ
 4.「価値」の投資を分散することでリスクを低下できる
 5.運用サービスに支払う手数料は小さい方がいい
 6.運用で利益を得る他人に「相談」するのは危ない!
 7.自分がコントロール出来るシンプルな運用がいい

といった、現在の「お金」の運用で当たり前の原則は、全て将来の「価値」の運用にも当てはまるのではないだろうか。

 近著『お金で損しないシンプルな真実』では、「最も効率のいい運用」が誰にとってもいいこと、運用には「市場のリスク」と「人間のリスク」の2つのリスクがあることなど、お金に関する本質的な知識を、コンパクトに、誰にでも読みやすい形にまとめた。その諸原則は、「お金」が、例えば「価値」に変わったとしても、ほとんど変更の必要がないのではないかと私は思っている。