左肩の不調で抹消された西武・菊池雄星 (c)朝日新聞社
左肩の不調で抹消された西武・菊池雄星 (c)朝日新聞社

 西武の勢いが止まらない。3・4月を19勝5敗の勝率.792で終えると、5月も連敗スタート後に4連勝して白星先行。5月6日終了時点で2位の日本ハムに早くも6ゲーム差をつけて首位独走態勢に入ろうとしている。

 だが、シーズンは長く、まだ5分の1が終わった程度。重症ではないようだが、6日にはエースの菊池雄星が、左肩の不調で出場選手登録を抹消されている。今後のペナントレースの展開はまだ読めない。事実、過去には前半戦に独走しながらも、急失速からのまさかの逆転劇でV逸した例も多くある。

 近年の失速劇を挙げると、まずは1996年の広島が思い起こされる。大野豊、紀藤真琴、チェコ、加藤伸一らの投手陣が踏ん張る中、緒方孝市、野村謙二郎、江藤智、前田智徳、ロペス、金本知憲らの強力打線が爆発して快進撃。6月1日に首位に立つと、シーズン64試合目で40勝に到達し、7月には2位・中日と8ゲーム、3位・巨人とは11.5ゲームという大差をつけて首位を独走した。

 だが、夏場以降に勢いを失い、主力に故障者が出ると、その間に長嶋茂雄監督率いる巨人が快進撃を続けて8月20日に首位陥落。その後しばらくは激しい攻防を続けたが、9月17日からの6連敗で2位に転落すると、以降は息を吹き返すことなく最終的に首位と6ゲーム差の3位で終戦。巨人の「メークドラマ」を完成させてしまった。

 1998年の日本ハムも後半戦で急失速した。この年、上田利治監督の下で、田中幸雄、片岡篤史、ブルックス、ウィルソンなどが本塁打を量産。「ビッグバン打線」の愛称定着とともに、7月末には2位・西武に最大10ゲーム差をつけて首位を走った。投手陣もエースの岩本勉を中心に安定した成績を収めていたが、後半戦に入って自慢の打線が突然打てなくなるとチームの歯車が狂い、8月に6勝14敗1分の勝率.300に低迷すると、9月以降も8勝18敗1分の勝率.308と黒星ばかりが連なり、最大「23」あった貯金は最終的に「2」まで減少。西武に逆転優勝を許す結果となった。

 2008年の阪神も記憶に新しい。岡田彰布監督が率いたチームは、赤星憲広、金本知憲、今岡誠、鳥谷敬らの05年の優勝メンバーに、新井貴浩、平野恵一が新たに加わり、投手陣ではウィリアムス、藤川球児、久保田智之による自慢の救援トリオ“JFK”が盤石。開幕5連勝から7カード連続勝ち越しとスタートダッシュに成功すると、その後も白星を積み重ねて7月8日の時点で巨人に最大13ゲーム差をつけて首位を快走。7月22日には優勝マジック46を点灯させた。優勝確定ムードの中で9月頭には『Vやねん!タイガース』たる雑誌も発売されたが、8月の北京五輪を境に失速し、巨人との直接対決でシーズン終盤に7連敗。9月下旬の直接対決3連敗で同率首位に並ばれると、10月8日の巨人戦にも敗れて単独首位の座を明け渡し、歴史的V逸となった。

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