異性に対する言動がさまざまな問題を引き起こしている。カップルカウンセラーの西澤寿樹さんが夫婦やカップルの間に起きがちな問題を紐解く本連載、今回は「自分の性衝動を抑えられない人たちの共通点」をテーマに解説する。

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 福田淳一前財務事務次官のセクハラ発言とされる音源が公開されて辞任につながり、今度はそれにまつわる発言で世間のひんしゅくを買った政治家が平謝りしたかと思えば、今度はTOKIOの山口達也さんが強制わいせつで書類送検された。性にからまる不適切な言動が問題になっています。

 福田氏は発言ですが、山口さんは現実の行動を起こしてしまったという違いはあるにしても、メンタリティ的には似ているものがあると思います。つまるところ、自分の性衝動を抑えられなかった、ということです。二人とも、自分の立場を理解はしていたと思われるので、「分かっちゃいるけど止められない」ということなのでしょう(だから、許されるということにはならないから社会問題になるのですが)。性欲・性衝動というものはとても強いので、そういった問題が起こりやすい領域です。

 家庭内でも似たようなことは起こります。優華さん(仮名)は言います。

「私が嫌だといってるのに、夫が私の体に触ってくるんです。触られると、身の毛がよだつっていうんでしょうか、ぞわ~っとして、鳥肌が立つんです。今では1m位に近づかれるだけで手が届きそうで心臓がドキドキするんです」

 夫は、それを夫婦のスキンシップだといいます。しかし、優華さんは

「子どもがいるときに、子どもに見えないように触ってくるんです。子どもの手前、怒ることもできず、そういうタイミングを狙ってやるのは卑怯極まりないと思います」

と憤ります。たしかに第三者との関係だったら、痴漢として突き出されても仕方ないことですが、残念ながら現在の日本では「夫に痴漢された」と言っても、警察は取り合ってくれないでしょう。それもまた優華さんの腹立たしいところです。

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西澤寿樹

西澤寿樹

西澤寿樹(にしざわ・としき)/1964年、長野県生まれ。臨床心理士、カウンセラー。女性と夫婦のためのカウンセリングルーム「@はあと・くりにっく」(東京・渋谷)で多くのカップルから相談を受ける。経営者、医療関係者、アーティスト等のクライアントを多く抱える。 慶應義塾大学経営管理研究科修士課程修了、青山学院大学大学院文学研究科心理学専攻博士後期課程単位取得退学。戦略コンサルティング会社、証券会社勤務を経て現職

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「せめて触るぐらい許して」、夫の主張は