新年度も始まり、学校では始業式を迎えようとしている。どんなクラスで1年間を過ごすのか、期待と不安を抱えながら教室に向かう子も多いだろう。不登校新聞の編集長・石井志昂さんによると、現役教師たちに取材したところ、クラス替えにはルールがあることがわかったという。

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 子どもにとって、この時期のビッグイベントと言えば「クラス替え」です。友だちやひそかに思いを寄せる子が別のクラスになってしまわないか、私もドキドキしていたことがあります。

 さてこの「クラス替え」、ある法則があるのをご存じでしょうか。複数の先生たちから聞いたところ、生徒を各クラスにわける際には以下のような法則に則って考えていました。

■クラス替えの法則

(1)各クラスの成績の偏りをなくすように配分する

(2)配慮が必要な生徒やリーダーは各クラスに均等配分する

(3)先生のひいきが生まれないように配分する

 これらの法則は、文科省の指導によるものではなく、学校または学年独自の法則です。そのため各教員で見解がバラける法則もありましたが、上記3点が「おおむね共通」しているものでした。

 具体的にどんなやり方でクラス替えをするのか、一番多かったやり方を示します。

 クラス替えを行う場合は、まず学力や運動能力に偏りが出ないようエクセルなどを用いて各クラスに全生徒を配分します。次に「リーダー候補の生徒」がいるかを確認し、クラスにいなければ他クラスから持ってきます。最後に配慮が必要な生徒を確認し、あるクラスに固まっていれば別クラスに移します。この際、「ピアノが弾ける人」を均等分配したり、「双子を分ける」などのことも考えます。

 以上が多かったやり方です。私はクラス替えにまつわるナゾが一気に晴れた気がしました。なぜ双子は同じクラスにならないのか。なぜ全クラスにピアノが弾ける人はいるのか……。あれは先生たちが「偏り」をなくすために努力していたからです。先生によっていろんな工夫がありましたが「各クラスに生徒をふり分けたあとで担当教員をくじ引きで決めて『先生のひいき』ができないようにしている」という話は「なるほど」と膝を叩きました。

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石井志昂

石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

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クラスにリーダーは必要なのか?