例えば、源泉徴収された年金を受けた方が、仮想通貨取引の損失を差し引きして申告をすると、源泉徴収された税額から還付を受けることができます。しかし、仮想通貨の損失を、給与所得のような雑所得以外の所得から差し引くことはできませんので、ご注意下さい。

――もし確定申告をしなかったら?

 申告漏れとなった場合、ペナルティーがかかる場合があります。本来納めなければいけない所得税の差額分に加えて、加算税や、本来の申告時期より遅れた利子分、延滞税がかかることがあります。時効は最長で7年です。

――申告していない人に対して調査は入るのですか?

 皆様に、適正に申告して頂けるよう、国税庁では、あらゆる機会を通じて申告の周知・広報を行っているところですが、必要があれば、行政指導や税務調査を行います。正直者が馬鹿を見ないように、メリハリをつけて、税務調査などを実施しています。税務調査では、事務所に伺う場合もありますし、領収書等を持ってきて頂く場合もあります。調査結果を国税庁のホームページに公表していますが調査数は約5万件です。

――確定申告をしてもらうために、国税庁としてはどういう対策をしているんですか?

 前提として、日本の所得税は、自主的に申告・納税していただく制度となっていますので、納税意識を高めると同時に、納税者が混乱しないよう広く、早めの広報をするよう努めています。また、仮想通貨の利益に関する申告については、日本仮想通貨事業者協会、日本ブロックチェーン協会などの、業界団体にご協力を頂きながら、「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」というFAQを宣伝するなどして、申告についての呼びかけを行っています。

 申告に際しては、適正に所得金額等を計算していただく必要がありますので
1にも2にも取引記録をつけていただくことが肝心だと思います。しかしながら、もし、取引記録をつけていない場合には、取引所から取引記録を取り寄せてもらい、1年間の利益や損失を計算して頂きますようおねがいします。

 また、申告書の作成については、国税庁のホームページに所得を自動的に計算する確定申告書の作成コーナーがございます。仮想通貨については、収入金額や必要経費を入力していただけば、自動的に税額などを計算してくれますので、是非ご利用下さい。(田中将介)