■企業・団体献金をもらっている希望の党

 それに比べて、やや疑念の目を向けなければならないのは、希望の党だ。同党の党規約を見てみよう。第9章に「倫理」の章があり、その中の第32条には、「本党の支部は、企業その他の団体(政治団体を含む。)からの寄附を受け取ってはならない。ただし、党内組織間(本部支部間、支部支部間をいう。)で行う場合は、この限りではない」と書いてある。

 これは維新とは全く異なり、支部だけが企業・団体献金受け取りを禁止されているということだ。党本部は企業・団体から献金をもらい放題だということになる。そのうえで、本部から議員の献金受け皿である支部に寄付するのは自由だから、完全に抜け道となってしまう。

 これを昨秋の衆議院選挙の前に見た時に、私は、非常に強い違和感を抱いた。なぜなら、この構造だと、議員個人は党本部に対して非常に弱い立場に置かれてしまう。希望の党に勢いがあった時に、候補者が企業や団体に献金を依頼すると結構お金が集まったかもしれない。そうすると、候補者が財政的に強くなり、党本部にいろいろと文句を言いやすくなる。そこで、個人(支部)向けだけは企業・団体の献金を禁止し、それをすべて党本部に集中させようとしたのではないか。さすが、「独裁者」と言われる小池百合子東京都知事の考えることは違うなと感心したものだ。

 ところで、この規約では、「希望の党は企業団体献金を受け取りません」とは言えないはずだ。しかし、玉木雄一郎代表は、ツイッター上で維新関係者とこんなやり取りをしている。

「一部報道で、希望の党が、企業・団体献金を解禁する方向で検討との報道がありましたが、そのような事実はないと明確に否定しておきました。あわせて、企業団体献金を禁止する法案の提出を検討することも申し上げました。全党がやらないと意味がないので、各党にも訴えていきたいと思います」

 これは、希望の党が去年の衆議院選挙の公約であった企業・団体献金禁止を解禁する方向で検討するという一部の報道に対して、事実無根であると否定するツイートなのだが、その反論の仕方が非常にミスリーディングなのだ。その解説は後でするが、普通の人がこれを見れば、希望の党は現在企業・団体献金を一切受け取っておらず、それを解禁することもないと理解するだろう。

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このツイートに対して橋下氏は…