■民進と立憲は本気度ゼロ?

 次に、民進と立憲民主はどうなっているのか見てみよう。民進の党規約には、やはり、「倫理」という章がある。しかし、どこを見ても企業・団体献金についての規定がない。規約とは別に倫理規則というものもあるが、やはり企業・団体献金に関する記述は見当たらない。

 立憲民主の党規約にも「倫理」の章はあるが、企業団体献金についての規定はない。

 つまり、この両党は企業・団体献金をもらい放題ということになる。これはある意味当たり前で、両党とも連合やその傘下の組合の支援なしでは生きて行けない政党であるし、議員個人でもそういう人が多い。だから、企業・団体献金の禁止などできっこないのである。

 表向きは、過去に企業・団体献金禁止の法案を提出したり、今国会にも提出する姿勢を見せたりしているが、自民党が反対するから成立はしないと読んだうえでのパフォーマンスをしているに過ぎない。この点は、不誠実だと言われても仕方ないだろう。

 今、日本の政治の最大の危機は、国民の政治不信だ。特に、不信の対象が与党だけではなく、野党にも広がってしまっている。そのため、野党がいくら与党を批判・監視しようとしても、野党への国民の支持がないと見切った安倍政権は、ほとんどまともな議論さえしようとしない。

 ここで重要なのは、野党のバックには幅広い国民の支持があると安倍政権が認知することである。そのためには、野党が、国民が諸手を挙げて賛成する提案をしていくことが必要だ。しかも、その提案が今の政治構造を根本から変える力のある提案であれば、願ってもないことではないか。

 その意味で、企業・団体献金をパーティー券販売を含めて完全禁止する法案を野党で共同提出し、法案成立前から自主的に実施すると宣言したらどうか。そのうえで、野党に対する個人献金を呼びかける。自らの身を切る覚悟を示して支持を求めれば、有権者から大きな支持と献金が集まり、安倍自民党も無視できなくなる可能性は十分にあると思うのだが。

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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