ただし、クリームがいい例だが、「生死を問わず、25年以上にわたってロック界に強い影響力を持ちつづけてきたこと」が殿堂入りの条件となっているロックンロール・ホール・オブ・フェイムの受賞者のなかには、単なる解散ではなく、分裂したバンドが少なくない。

 クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルもその一つで、この日のパーティーでジョン・フォガティは、ブルース・スプリングスティーンやロビー・ロバートソンを中心にしたスペシャル・バンドをバックにライヴを聞かせた。ベースのステュ・クックとドラムスのダグ・クリフォードも出席していたのに、である。とんでもないライヴではあったが、なんとなく後味の悪いものでもあった。

 1986年の第1回授賞式でエルヴィス・プレスリー、チャック・ベリー、バディ・ホリーらパイオニアたちの功績を讃えてから32年目。今年4月14日に予定されているアニュアル・インダクション・ディナーでは、ダイアー・ストレイツ、ムーディー・ブルース、ザ・カーズ、ニナ・シモン、ボン・ジョヴィの5組が新たに殿堂に迎えられる予定だ。このなかにも「いろいろとあったバンド」がいるが、さて、授賞式ではいったいどんな顔ぶれでライヴを聞かせるのだろう? あるいは、これをきっかけに絆を取り戻すということもあるのだろうか?(音楽ライター・大友博)

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大友博

大友博

大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。dot.内の「Music Street」で現在「ディラン名盤20選」を連載中

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