最近のコンビニはこれまでの店舗規模の拡大路線から、商品開発にも力を入れるなど量と質の両面で顧客開拓を進めてきた。以前は若い世代の顧客が中心だったのに対し、社会・家族構造の変化に合わせるように、社会進出が著しい働く女性や高齢者の取り込みを図ってきた。低カロリーの惣菜や弁当などで健康志向を取り込み、唐揚げやコロッケなどのカウンター商品を充実させたり、いれたてコーヒー導入などで新たな顧客を呼び込む工夫もこらしてきた。さらに公共料金の収納代行や、銀行ATMの設置、宅配便の取り扱いなどサービスの多様化にも取り組んでいる。

 コンビニ業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、セブンイレブン・ジャパンを傘下にするセブン&アイホールディングス、ローソン、ファミリーマートの大手3社は業界再編、寡占化を進めている。こうした大手の最近の戦略をみると、国内の経営が従来型では限界に来ており、コンビニが曲がり角にあることがみてとれる。

 コンビニ各社は飽和状態の国内から、東南アジアなど海外展開を加速している。一方、国内では新事業を併営する動きに出ている。セブンイレブンは昨秋、自転車シェアリング事業を開始し、自転車を借りたり返却する際にセブンイレブン店舗で利用できるクーポンを付与。ファミリーマートは昨秋、健康志向が高まっていることを受けてフィットネスジム事業参入を発表しており、今年2月中旬をめどに東京・大田区に店舗併設の1号店を出店する。さらにファミリーマートは家事負担の軽減に結びつくとしてコインランドリー事業にも手を伸ばし、今年春ごろをめどに店舗併設の1号店を関東地方に展開する。

 人手不足もコンビニ業界を脅かしている。高齢化や深夜を含めた長時間労働の厳しさなどから、コンビニのオーナーのなり手がいなくなってきている。販売が頭打ちとなる中で人手確保が難しくなり、人件費の上昇が経営を圧迫している。

 コンビニといえば24時間営業が当たり前だが、ファミリーマートが人手不足で24時間営業の見直しに着手と主要新聞が咋秋に相次ぎ報じた。ファミリーマートは今年1月11日に発表した決算短信で、店舗スタッフの業務削減のための「オペレーション改革」加速に向けて部門横断組織を立ち上げ抜本的な改革を検討・推進する方針を明らかにしている。
時代は働き方改革の真っだ中だ。当たり前だった24時間営業も含め、コンビニの在り方が今年は大きく変わる可能性が出てきた。(浅井秀樹)