セブンイレブンは昨秋、自転車シェアリング事業を開始した (※写真はイメージ)
セブンイレブンは昨秋、自転車シェアリング事業を開始した (※写真はイメージ)
コンビニエンスストア休廃業・解散、倒産件数の年次推移 (東京商工リサーチ調べ)
コンビニエンスストア休廃業・解散、倒産件数の年次推移 (東京商工リサーチ調べ)

  日々の生活に欠かせない存在となったコンビニエンスストアだが、その経営が曲がり角にある。国内市場が飽和状態となる中で競争が激化し、人手不足も経営に追い打ちをかけている。

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 信用調査会社の東京商工リサーチによると、昨年のコンビニ倒産件数は5年連続で増加して51件と、過去2番目に高い水準となった。最多を記録した2003年(53件)以来、14年ぶりに50件台に達した。コンビニ業界の成長を反映し、倒産は2012年まで3年連続で減少をたどっていたが、2013年を境に増加に転じ、5年連続で前年を上回った。休業・解散と倒産を合わせると年間で初めて200件を超えた。節約志向が強まり消費が伸び悩む中、スーパーやネット販売、他社との競争激化に加え、人手不足による人件費上昇も重荷となっている。

 負債総額は18億1,900万円(前年比30.9%増)と、2年連続で前年を上回った。小・零細規模の業者が多い業界の特徴を反映し、負債1億円未満が48件と9割超(構成比94.1%)を占めた。

 販売不振で倒産したコンビニについて、商工リサーチ情報本部の谷澤暁課長は、同業他社や近隣店舗との競合が厳しくなったことがあると分析している。最大手のセブンイレブン・ジャパンが特定地域に集中展開する「ドミナント戦略」なども競争激化の背景にあるという。

 飲食店やコンビニなどが加盟する日本フランチャイズチェーン協会によると、2016年度の国内総店舗数は26万3109店と8年連続で増え、売上高が25兆974億円で7年連続の増加となった。このうち、街角の小規模店舗に食品や日用雑貨など多数の商品を揃え、年中無休で24時間営業している便利なコンビニは生活に欠かせない存在である。

 最近は24時間営業を含めて早朝から深夜まで営業するスーパーや、インターネット上で選んだ商品を配送してくれるネット販売も急成長するなど、新たなライバルが台頭してきている。迎え撃つコンビニは国内店舗が飽和状態にあり、特に都市部では新規出店の余地が少なくなっている。

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コンビニ業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、各社の取り組みは…