そのことは、80年代アイドルと今のアイドルとのファンとの「距離感」の違いにも如実に表れている。

 そして、こうした傾向は女子アナにも及んでいる。

 かつての女子アナのイメージでは考えられなかった大食いキャラで注目を集め、気取ったところやあざとさが感じられない水卜アナを筆頭に、男選びも庶民派?の山崎アナ、お嬢様育ちながらバラエティー番組では自らすすんでボケ役を演じる高橋アナが人気を集めるのも、至極当然の流れだろう。

 NHKの桑子アナと井上アナの2人に関しても、ルックスやアナウンス技術の高さはもちろん、地方局での下積みの長さも人気を後押しする要因の一つではないだろうか。
 
 このような時代背景を鑑みれば、女優顔負けのルックスとモデルさながらのプロポーションの良さで民放各社の女子アナ採用試験に合格し、フジでのデビュー当時から脚光を浴びていた加藤アナは、かつての女子アナの王道を歩んでいる反面、けっして今の時代にマッチしている存在とは言い難い。

 それでも、毎年同ランキングの上位に顔をのぞかせているのは、まさに“スーパー綾子”の“スーパー綾子”たるゆえんだろう。

 ちなみに、加藤アナについては男性だけでなく、若い女性からも支持が高いようで、「華がありすぎる」、「あそこまでルックスが完璧だともう嫌味にならない」といった称賛の声をたびたび耳にする。

 そんな加藤アナはいわば別格の存在としても、大筋では親近感のある庶民派アナが人気を集めているというのが現状である。

 また、今回のランキングの上位10人全員が30歳以上というのも特筆すべき点だ。
もはや、女子アナに若さやフレッシュさ、華やかさを求めていた時代は過ぎ去り、かつて業界内で言われていた「女子アナ30歳定年説」もどこ吹く風。

“女子アナ”という表現すら死語になる日が来るかもしれない。
 
 実力のある者が女子アナとして長く最前線で働けるのは喜ばしいことではあるが、一方で若手にとっては何とも厳しい時代である。

次のページ
今後「女子アナ」はどうなる?