市村:全然仕事には慣れていないんだよ。舞台は毎日生のお客さんが来るから、慣れるわけないんだよね。映画やテレビでもいろんな作品をやらせてもらうけど、その役は縁があって出会った役だから、一つひとつが新鮮。ピュアな気持ちでやらないと出来上がりが悪いしね。

丸山:僕は今回単独初主演映画でしたけれど、はじめという一人の人間の人生の一部分を切り取って歩んだという感じ。登場人物はそれぞれが自分の人生の主人公だから、僕が主演という意識はなかった。でも主演の仕事はここからですよ。みなさんに見てもらうために、いろんなところに行って「いい映画ですよ」と宣伝をする。あとは何か言われたら全部僕の責任、という気持ちでやっています。

市村:丸ちゃんの初めての主演映画で相棒をやれてよかった。あとはお客さんに楽しんでもらうだけです。丸ちゃんには、これから自分でキャラクターを決めないでいろんな役をやってほしい。他人が与えてくれる役を消化していくと、自分では考えられなかった自分が出せるんじ
ゃないかなという気がするんですよね。

――この映画は、窮地に立ったはじめが取り繕っても、次々とボロが出ていく……という展開。2人は窮地に立ったらどうなるのか?

市村:僕は乗り切れない。汗だらっだらで、ウソがすぐばれるから、「ごめんなさい」って謝ります。

丸山:用事はないけど気分的にご飯に行きたくないときなんかに、「今日友達のライブで」とかメンバーに小さなウソをつくことがあるんですよ。でも、全部ばれている。窮地に立ったときは、市村さんみたいに潔く謝ります!

丸山隆平(まるやま・りゅうへい)/1983年生まれ。京都府出身。2004年に関ジャニ∞のメンバーとしてCDデビュー。俳優としては、ドラマ「ボーイズ・オン・ザ・ラン」「地獄先生ぬ~べ~」などで主演。舞台「マクベス」でも主演を務めた。本作「泥棒役者」では映画単独初主演。

市村正親(いちむら・まさちか)/1949年生まれ。舞台、映画、ドラマなどで活躍。主な舞台作品に「NINAGAWA・マクベス」「ミス・サイゴン」「ハムレット」など。2007年に紫綬褒章受章。今後は舞台「屋根の上のヴァイオリン弾き」「ラ・カージュ・オ・フォール」「モーツァルト!」などが控える。

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