もちろんブラジルやベルギーが相手では、日本が優勢な時間帯やチャンスの数もこれまでの相手より限られるだろう。その中で守備のスタンダードを失うことなく、効率的にゴールチャンスを生み出す能力を示せれば、W杯の本番仕様としてチーム作りの仕上げに入っていくチームの核の部分に組み込まれる可能性は十分にある。

 専修大学の4年時に横浜F・マリノスの特別指定選手だった長澤は、大学生の世界大会であるユニバーシアードのロシア大会を経験し、銅メダルを獲得。当時のメンバーには今回の日本代表にも選ばれた車屋紳太郎がいた。そこからJリーグの所属を経ずにドイツへ渡り、ドイツ2部だったケルンで奮闘。1部昇格に貢献する活躍を見せた。

 その時は契約を2年延長するなど順風満帆に思われたが、14‐15シーズンの開幕前に左膝を痛め、チーム内の立場も難しくなっていた15年12月に浦和レッズへ完全移籍。同時にJ2のジェフ千葉にレンタルされた。チームをJ1に導くことはできなかったが、主力として41試合に出場した長澤は浦和に復帰。さらなる飛躍が期待されたが、なかなか出番を得られない時期が続いた。

 そうした状況でも腐らずにトレーニングを積み重ねてきた成果が現在の活躍に表れているのだろう。いずれにしてもハリルホジッチ監督が中盤の選手に求めることをハイレベルにこなし、かつ攻撃にプラスアルファを出しうる選手であり、チームの底上げやオプションの追加など、さまざまなメリットをもたらす可能性がある。世界の強豪を相手にまさしく“ハリルの申し子”となれるか。今回の欧州遠征でも興味深いポイントの1つとなる。(文・河治良幸)