作家・橋本治が明かす「日本人がバカになってしまう構造」とは? (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

作家・橋本治が明かす「日本人がバカになってしまう構造」とは?

このエントリーをはてなブックマークに追加
川喜田研dot.#朝日新聞出版の本#読書
橋本治(はしもと・おさむ)/1948年東京都生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、『桃尻娘』で小説現代新人賞佳作を受賞。評論家としても活躍。『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、『三島由紀夫とは何者だったのか』で小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、『双調平家物語』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。近著に『たとえ世界が終わっても』『知性の顛覆』『いとも優雅な意地悪の教本』等

橋本治(はしもと・おさむ)/1948年東京都生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、『桃尻娘』で小説現代新人賞佳作を受賞。評論家としても活躍。『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、『三島由紀夫とは何者だったのか』で小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、『双調平家物語』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。近著に『たとえ世界が終わっても』『知性の顛覆』『いとも優雅な意地悪の教本』等

──それは言い換えれば「拡大」と「成長」をすべての前提にしてきた「資本主義的な近代」が、その限界を露呈しているということですか?

 うん、ただ、その一方で「一帯一路構想」をブチあげた中国なんかは「私たちはこれから20世紀を経験します」と宣言しているでしょう。あれは要するに中国とヨーロッパを繋ぐハイウェイを建設して、その周りにでっかいショッピングモールを作り、その結果、かつては交易で栄えた、中央アジアの砂漠の中の街が「シャッター商店街」化してゆく……という、実に20世紀的な話なわけじゃないですか。

 要するに、今というのは、日本人みたいに、21世紀に入って「壁」に突き当たっている人たちと、中国みたいに「これから20世紀を経験しよう」という人たちが、同じ時代に「異なる時間軸」を生きているんです。ところが、日本人は、既に「賞味期限切れ」になってしまった「知性」に代わる「何か」を自分で考えようとしない。隣の中国が「これから20世紀を経験しよう」としているのを横目で見ながら「それなら、本家の俺たちのほうがうまくできるはずだ……」と、時代錯誤的に考えている。

「アベノミクス」なんて、結局のところ「20世紀に戻せば日本は勝てるんだ」って言うだけの話なんですね。でも、私に言わせれば、せっかく20世紀の終わりにバブルが弾けて、日本は思想的に「経済の最先進国」になったんだから、むしろ、いままでの行きがかりを捨てた方が、何か新しいモノを見出せるかもしれないよ……と思うわけ。

 だってさ、こんなに何でもかんでも「工夫」する人種って、おそらく日本人ぐらいしかいないよ。今回の選挙でもそうだったように、日本人が「工夫」できないのは「政治」だけでさ、それは日本の政治が「幻想」を見ているからなんだけど……。

 それはともかく、日本人は「自分たちの在り方」を直視することが苦手だから、いまだに「20世紀の理論」を信じていて、それを追いかけ続ければ必ず、メリットがあると信じている。でも、これだけ波が荒れているのに、「硬直した、古い知性」にしがみ付いていたら、?覆しちゃうのは当然だと私は思いますね。


トップにもどる dot.オリジナル記事一覧

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい