母と娘の関係は複雑だ。お互いを思うが故、過干渉になって、そこから憎悪が生まれることもある。Reライフマガジン「ゆとりら秋冬号」では、そんな家庭内の女バトルについて特集。今回のケースではどのように感情をほぐしていけばいいのだろうか。

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神谷香織さん(仮名、58歳)のケース

 私と母の関係は、子どもの頃から悪かったわけではありません。どちらかというと仲良く過ごしていたと思います。

 しかし、その関係が完全に壊れたのは私が娘を産んでから。私は母を一生許さないでしょう。私を傷つけ、私の娘の人生も変えてしまったのですから。

 私は結婚して子どもができたのを機に仕事を辞め、子育てに専念していました。しかし、3年で離婚。乳飲み子を抱え実家に帰るしかありませんでした。父はすでに亡くなっていて実家には母一人。私は仕事を始めなければならず、母と同居することは、その時は正しい選択だと思っていたのです。ところがそれは地獄の始まりでした。

 私が実家に戻ったのを機に母は田舎の一軒家を引き払い、街中のマンションに引っ越すことを希望しました。私は母と共同名義でローンを抱えることに。今思えば、それが母との生活から逃れられなくなる原因になってしまったのです。

 一緒に暮らし始めてから、母は自分が「母親の先輩」だと、ことごとく主張し始めました。育児に関して何から何まで上から目線で指導し、私の全てを否定します。私が母親であることを認めようとしません。私のことを「ダメな子ども」としか見ることができないのです。私は母の娘であっても、私の娘にとっては母親です。たとえ母親として完璧でなくても、一生懸命子育てをしていたつもりです。しかし母は「そんなんじゃ母親などと言えない!」と、娘の前で私を否定し続けました。娘にも「あなたのお母さんは、本当にだめね」と洗脳し続けていたようです。母と私のいがみ合いを見てきた娘は、おばあちゃんのことを快く思っていませんでした。自分の母親を傷つけるひどい人だと思っていたのでしょう。

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