左から、太田差惠子さん、中村寿美子さん、濱田孝一さん(撮影/写真部・小山幸佑)
左から、太田差惠子さん、中村寿美子さん、濱田孝一さん(撮影/写真部・小山幸佑)

 高齢者ホームに関する本やウェブサイトは数あれど、実際のところ、何をもって「いいホーム」と言うのだろう。お金? それとも設備!? 発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018」では、メディアや講演などで活躍している3人のホーム選びの「プロ」に相談。ホンネを聞き出したので、3回に渡ってお届けする。1回目は、ホーム選びの基本を紹介しよう。

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――ズバリ、「いい高齢者ホーム」とはどういうところでしょうか。

中村寿美子:私は職員が定着しているところがいいホームだと思います。

濱田孝一:それは大きなポイントの一つですよね。入居者にとっていいホームはスタッフにとっても働きやすく、離職率が低いですから。

太田差惠子:私はひとくちに「いいホーム」なんてないんじゃないかな、と思っています。利用者やニーズによっていいホームの定義は変わるので。何を望むかですよね。

濱田:アメニティーやスタッフによってずいぶん変わりますよね。でも安いからだめということはない。高級割烹料理からファストフードまで全部並べてどれがいいですか、というのと同じで、ニーズが違えば単純比較はできない。

中村:そう、安いからだめということは全然ないです。それと、経営者の方針も大事ですね。私が紹介業をやっていたとき、「どうしたらうちのホームを紹介してくれるんだ」という企業がありました。株主の提示や一時金の償却年数などいくつも納得できない点があったからで、「そこをクリアしたらご紹介します」とこちらから条件を出したんです。でもその後に来ることはなかった。だから必ず経営者に会って方針を確認します。

濱田:僕は京都なんですが、東京はそういう経営者が多そうですね。

中村:京都はすぐに口コミで広がってしまうから悪いことはできないでしょう?

濱田:そうですね。東京の噂は関西にいても聞こえてきますよ。なんでこんなに高額なんだとか、この金はどこへいっているんだとか。高齢者もわからないから、高額ならいいサービスが受けられると勘違いしてしまうんですよね。

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