■親の態度が変わった

 田村さんにぐちをこぼす子どもたちの声には「最近、お父さんもお母さんも勉強の話しかしてくれない」「『あと1年しかないのよ』ってママが口ぐせみたいに言うの」といった、親にまつわることが多く聞かれるそう。

「塾や学校で勉強漬けで、家庭でも勉強の話ばかりでは、息がつまってしまいます。せめて食事時くらいでも、家族で会話を楽しみましょう。そして、子どもの話をよく聞いてあげてほしいと感じます。また、『あと1年』『どうしてこれくらいの量ができないの』といった、大人の感覚で期間や量をいわれても、子どもは困惑するだけです。その量がわかるのは、経験がある大人の発想。子どもにとっては、想像もつかないものなのです」

 田村先生が子どもたちを見ていて感じることは、親子関係が良好である子どもは、勉強もうまくいく傾向にあるということ。

「『親に愛されている』『認められている』と感じている子どもは、少々叱られても平気ですし、前に進めるんです。そんな家庭は、親も成績に一喜一憂せず、子どもを信頼して応援してあげているんですね。うまくいっている家庭は、そこがしっかりしています」

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 親が気づかないところで、プレ思春期の子どもたちは悩み、ストレスを感じているもの。さりげなく、親は気を配ってあげたいところです。『AERA with Kids 秋号』では、このほかにも「いつもイライラしている」「ダラダラしてやる気がなさそう」……といった9歳、10歳の子どもによく見られるケースをピックアップ。プレ思春期の子どもたちに対する親の対応を、さまざまな場面から考えています。